書評:横山秀夫「64 上」

さて

横山秀夫著、「64」の上巻を読了したので、それについて語るとしよう。

横山秀夫氏と言えば「クライマーズ・ハイ」を代表作として知られる警察小説の名手。元上毛新聞記者で、「クライマーズ・ハイ」は日航ジャンボ機の墜落当時、上毛新聞での取材活動をベースに描かれたと言うのは有名なお話。

自分は、横山秀夫の小説を読むのはこれが初めて。「クライマーズ・ハイ」は、堤真一の主演で映画化されて、自分はそのDVDを借りてきて見始めたのだったけど、なぜか寝落ちしてしまって最後まで見ていない。

で、話を「64」に戻すと。

「64」は、「ろくじゅうよん」ではなく、「ロクヨン」と読む。舞台はD県警。昭和64年に起きた未解決の幼女誘拐殺人事件を指す、県警内での符牒が「ロクヨン」。

物語の発端は、時が流れた平成14年。主人公の三上は、元は刑事部で犯罪捜査に当たっていたが、なんの因果か人事異動で現在は広報官として働いている。D県警に東京から警察庁長官が視察に訪れることになり、長官の要望で「ロクヨン」事件の被害者の家を慰問することになった。
三上は被害者の父へ長官訪問の許可を取り付けに行くことを命じられるのだが、父はその申し出を断固として拒否する。警察と被害者の父との間の不和に気付いた三上は、長官訪問を成功に導くためにその原因を探り始めるのだが、D県警の屋台骨を揺るがす、重大事実を知るに至るのだった・・・

というお話だ。

まだ上巻なので、主人公が重大事実を知った所くらいまで。最初の2/3くらいまでは、背景説明とか人物紹介とかが多くてなかなか話が進まなくてやきもきしたけど、後半に入ってからはページを繰るスピードが止まらず、わずか4日間で読了したわ。

作者が元新聞記者だけあって、警察とマスコミの関係性の描き方が真に迫っていたな。小説ってあくまでフィクションだけど、細かなディティールの積み重ねが物語を真実らしく見せるという面がある。その点、横山秀夫氏の力量は流石だと思った。

様々な登場人物達と主人公の関係性が重層的に描かれており、物語に厚みを持たせていると思う。

本作はまずピエール瀧(!)の主演でNHKでドラマ化されるらしい。

エラー|NHKオンライン

次いで来年には佐藤浩市の主演で映画化も決まっているとのこと。

http://www.jomo-news.co.jp/ns/9414246184314707/news.html

http://www.jomo-news.co.jp/ns/9414246184314707/news.html

いずれも楽しみである。

では