きみはアインシュタインを知っているのか/常識ってなんだろう
さて
昨日こちらの記事を読んで、HKT48というグループが歌う「アインシュタインよりディアナ・アグロン」という歌のことを知った。
秋元康氏が作詞した歌詞の内容が女性差別的であるとそう言えば先月話題になっていたが、具体的な歌詞の内容は知らなかった。
件の歌詞の内容が女性差別的か否かの議論をここでする気はないけど、秋元康氏が「誰もが知っていて(知っているつもりでいて)それを知らない人に対して無知となじることができる人物」としてアインシュタインを挙げているのが絶妙なバランス感覚だなと思った。
https://itunes.apple.com/jp/album/ainshutainyoridiana-aguron/id1099111954?i=1099112340&uo=4&at=11lQPS
「○○よりディアナ・アグロン」
ディアナ・アグロンと対比される人物がアインシュタイン以外の人物だとしたらどうだろう?
いくつか考えてみた。
「ニールス・ボーアよりディアナ・アグロン」*1
「アラン・ケイよりディアナ・アグロン」*2
「ジョン・ナッシュよりディアナ・アグロン」*3
「ハウンスフィールドよりディアナ・アグロン」*4
いずれも科学・経済学・医学等の分野で重要な功績を残した人物(詳しくは注釈を参照して下さい)だが、名前すら知らないと言う人も多いに違いない。
だがアインシュタインなら誰もが「知っている」と言うだろう。
君はアインシュタインを知っているのか
「アインシュタインよりディアナ・アグロン」の歌詞にはこうある。
アインシュタインって
どんな人だっけ?
聞いたことあるけど
本当はよく知らない
アインシュタインについて、歌詞にもある通り多くの方が名前は知っているだろうと思うけど、実際に何をした人なのか具体的に言えるだろうか。
自分の知る限りのアインシュタインについての知識を以下に箇条書きに挙げてみると
- アッカンベーしてるおじさん
- 「相対性理論」「特殊相対性理論」について論文を書き、ノーベル物理学賞を受賞した物理学者
- 原子力爆弾開発のマンハッタン計画に参加するも、その危険性に気付き合衆国大統領に計画の中止を求める手紙を書いた。
- 大の親日家で来日した時には日本中がアインシュタインフィーバーに沸いた。
- E=mc2
- 「アインシュタイン」はドイツ語で「1つの石(ein stein)」の意味。
うーーん、これで限界。
知っているつもりで知らないことだらけ
改めてWikipediaでアインシュタインの項目を読んでみた。
前項に掲げた自分の知識の答え合わせをすると、
- アッカンベーしてるおじさん>正解!
- 「特殊相対性理論」「一般相対性理論」について論文を書き、1921年にノーベル物理学賞を受賞した物理学者>一部誤り。
原子力爆弾開発のマンハッタン計画に参加するも、その危険性に気付き合衆国大統領に計画の中止を求める手紙を書いた。>大間違い!アインシュタインはマンハッタン計画には関与していない。- 大の親日家で来日した時には日本中がアインシュタインフィーバーに沸いた。>正解。
- E=mc2>正解だけど意味分かってる?
- 「アインシュタイン」はドイツ語で「1つの石(ein stein)」の意味。>正解。
知っているつもりでいても、知識が間違っていたり、知らなかったこともあった。
きみの常識は世間の常識じゃない
自分の持っていた知識レベルで「アインシュタインを知っている」と自信を持って言うことができるだろうか?
それこそ大学で物理学を専攻していたような人なら、「オマエはアインシュタインについて何も分かっていない」と言うだろうし、秋元康氏が描こうとした女の子から見たら「物知りですね」となるのかも知れない。
更に言えば、自分はディアナ・アグロンを知らなかった。
女の子はアインシュタインなんか知らなくていい?: 大日向雅美「学長の部屋」| 恵泉女学園大学ディアナ・アグロンって誰?
2016/05/09 12:57
ディアナ・アグロンって誰? - iGCN のブックマーク / はてなブックマーク
これも、秋元康氏が描こうとした女の子たちにとっては知っていて当たり前の常識なのかも知れない、いやむしろ秋元康氏が想定する「女の子」達が最大公約数的に知っている人物として挙げているのか。彼女達からすれば、「ディアナ・アグロンも知らないなんて常識がない」となるのだろう。
「常識」は相対的
かように「常識」と言うものは相対的なものと言えよう。何かについて訳知り顔で「これって常識だよね」と言う人が時々いるけど、それは単にその人が知っている(知っているつもりでいる)知識なだけであって、他の大多数の人もそれを知っているかどうかは保証の限りではない。
その人固有の知識・価値観を「常識」として振りかざす人間を、自分は信用しない。だからネットスラングの「JK」(女子高生、ではなく「常識的に考えて」の意)という言い方も自分は好きではない。
さいごに
「アインシュタインとディアナ・アグロン」問題について、フェミニズム問題とは全く違った視点から考察してみた。
では