書評:「ピルグリム<2> ダーク・ウィンター」
さて
先日読了した「ピルグリム」1巻に引き続き、第2巻「ダーク・ウィンター」を読了したのでそれについて語るとしよう。続きが気になって、毎晩寝る間も惜しんで(はいないが)読書に勤しんだ甲斐があって1週間で読了しましたわ。
ちなみに前巻の書評はこちら。
書評:「ピルグリム<1> 名前のない男たち」 - Noblesse Oblige 2nd
復習になるが、「ピルグリム(原題:I am pilgrim)」は元映画脚本家のテリー・ヘイズのデビュー作であり、アメリカに対するテロを企てるテロリストと、それを阻止せんとする諜報部員の対決を描いている。
全三巻からなり、
となっている。
第2巻では、いよいよ敵役である<サラセン>のテロ計画がアメリカ政府の知る所となり、辣腕エージェントである主人公が<サラセン>の追跡任務を言い渡される。タイトルにもなっている「ピルグリム」は、主人公が名乗るコードネームだ。
数少ない手がかりから、<サラセン>の協力者である女を追って主人公はトルコへ渡り、そこで捜査を開始する。
主人公はトルコへ潜入するために、同地で偶然死亡したアメリカ人の捜査を行うFBI捜査官を装うのであるが、その捜査の重要な手がかりを明らかにする場面なんかは、「そんなことあるわけなかろうもん!」と突っ込みたくなるようなトリックを利用していた。
他にも、ちょっとご都合主義が鼻につく場面が多々あったのは気になったし、「悪いことはとりあえずナチスのせいにしておけ」っていう、ハリウッド脚本家ならではの論法が出てきてちょっと鼻白んだ感がある。
ところで、第2巻のタイトル、「ダーク・ウィンター」は、アルカイダの工作員が天然痘ウイルスをばらまくという架空のテロ攻撃を想定した、実在のシュミレーションの作戦名らしい。
米国で、テロ攻撃の事前対応をシミュレートする演習を実施 | WIRED.jp
この種の演習で一番最近行なわれたのは、2001年6月の『ダーク・ウィンター(PDFファイル)』だ。このときは、アルカイダの工作員が天然痘ウイルスをばらまくという架空のテロ攻撃を想定した。結果は、数万人の一般市民が感染する大惨事になるだろうというものだった。
作者はこのシュミレーションの結果を読んで、本書を着想したんだろう。
第2巻に至っても、主人公と<サラセン>が対峙する場面はなく、第3巻に楽しみは持ち越し。
てか、早く3巻を買いに行かないと!
では