書評:「ピルグリム<3> 遠くの敵」

さて

ここのところずっと読んできた「ピルグリム」であるが、ついに読了したのでそれについて語るとしよう。

ちなみに1巻、2巻の書評はこちら。

書評:「ピルグリム<1> 名前のない男たち」 - Noblesse Oblige 2nd

書評:「ピルグリム<2> ダーク・ウィンター」 - Noblesse Oblige 2nd

復習になるが、「ピルグリム(原題:I am pilgrim)」は元映画脚本家のテリー・ヘイズのデビュー作であり、アメリカに対するテロを企てるテロリストと、それを阻止せんとする諜報部員の対決を描いている。
全三巻からなり、

  1. 名前のない男たち
  2. ダーク・ウィンター
  3. 遠くの敵

となっている。

第3巻の「遠くの敵 」は最終巻であり、ついに主人公と敵役のテロリスト<サラセン>が直接対決する。また、今までに張ってきた伏線を一気に回収する。

敢えて苦言を呈させて頂くと、少しネタバレになってしまうけども今までに細心の注意を払ってテロの計画を立案・実行してきた強固な意志をもったテロリストであるにも関わらず、<サラセン>が土壇場になってからあまりにも弱すぎじゃね?ってところが気になったな。ちょっと、あまりにもあっけなかった。

あと、伏線の回収があまりにも強引すぎで、ちょっとご都合主義が過ぎた感がある。

1−2巻でかなり丁寧に主人公の生い立ちを描いているけど、結局その前ふりはまるまる不要だったんじゃないかと、全巻読み通して思っちゃいましたわ。不要な部分を削ったら、上下2巻に収まる内容だったんじゃないか。

事件に決着がついてからの数章分も正直蛇足だった気がしてならない。

ところで、文庫本の訳者後書きによれば、

とはいえ、本書を最後までお読みになった読者ならおわかりのように、<ピルグリム>の旅はまだ終わっていないようだ。著者インタビューによれば全三部作の構想で、驚くなかれ、この超大作「ピルグリム」がその第一部らしい。

とのこと。

散々文句も言ったけど、続編が出版されたら読んじゃうんだろうな。

では