Airborne Babyの国籍はいかに?
さて
「カナダ人女性が機内で女児を出産」というニュースに対するブクマコメントが予想外のはてなスターを集めているので、折角なのでブログ記事を書くことにする。
Yahoo!ニュースこれが本当のAirborne baby。ってのは冗談で、これを美談扱いするのは間違いだろ。臨月で飛行機乗るのは非常識過ぎる。
2015/05/10 22:56
これが本当のAirborne baby。ってのは冗談で、これを美談扱いするのは間違いだろ。臨月で飛行機乗るのは非常識過ぎる。 - iGCN のブックマーク / はてなブックマーク
ちなみに、本記事のタイトルにある"Airborne"は、字義通りには「空輸された」を意味する形容詞であるが、これは「airborn(空中で生まれた)」とかけているのである。
個人的な体験として、以前アメリカに住んでいた時、なんかの手続きでウェブサイト上のフォームで個人情報を登録する機会があった。その中に「Place of birth(出生地)」の項目があって、セレクトボックスから選べるようになっていたが、選択肢のひとつに「In the air(空中で、もしくは飛行機上で)」があったのだ。
国籍付与の方式は?
ここでなぜ出生地が大事になるかと言うと、国籍の考え方として「出生地主義(ius soli)」と、「血統主義(jus sanguinis)」の二通りがあるから。前者は、両親の国籍に関わらず、自国の領土内で生れた者に自国の国籍を与えるという考え方。一方後者は、子の出生地がどこであれ,親のもつ国籍と同一の国籍をその子に付与するという考え方。
ちなみに日本国籍の考え方は、基本的には血統主義である。簡単にWikipediaから抜粋すると
国籍法では次の3つを出生による日本国籍取得の条件とし、これらの事例では自動取得となる。
- 出生の時に父又は母が日本国民
- 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民
- 日本で生まれ、父母がともに不明のとき又は国籍を有しないとき
日本国籍:Wikipediaより
一方で、アメリカやカナダでは出生地主義をとっている。
- 青色が出生地主義を採用している国(Wikipediaより)
出生地主義と血統主義が併用される場合
そこで、出生地主義と血統主義の両方が適応され得るケースが問題となる。
よくある事例として、日本人の両親がアメリカ在住中に子供を産んだ場合は、産まれた子供はアメリカと日本の二重国籍を持つことになる。20歳になる時にどちらかの国籍を選択すればよいと言うのは良く知られた話。
一方で、出生地主義を悪用しようとして、某アジアの大国の妊婦がアメリカに行って子供を産むのが流行って問題化したことも記憶に新しい。
では機上で産まれた子供の国籍は?
ここからが本題。国際線の機上で産まれた子供の国籍はどうなるのか。
調べてみたところ、以下のサイトに詳述されていた。
Many countries also grant automatic citizenship to a child born on a vessel that is registered to that country.
多くの国では自国籍の船舶・航空機上で産まれた子供に対して自動的に国籍を付与している。(翻訳 by オレ)
今回のケースでは、両親がカナダ人、乗っていた航空機もエアカナダ機ということだから、産まれた子供は自動的にカナダ国籍になるのだろう。
他国籍の航空機に搭乗していた場合は、もっとややこしくなりそうだけど。
マタ旅は危険です
最後に言いたいことは、ブクマコメントにも書いたけど臨月で旅行するのはマジ危険。これについてもいろいろと書きたかったけど、炎上案件だから遠慮しておく。宋美玄先生あたりが取り上げてくれることと期待。
では