大藤園の障害者虐待事件を取り上げたmr.サンデーの恣意的編集
さて
時には真面目な話をしようか
http://www.asahi.com/articles/ASH6B4RPGH6BTIPE025.htmlwww.asahi.com
下関市の指定障害福祉サービス事業所、大藤園で障害者への虐待が常態化していることが内部告発によって明らかになったと言うこの事件。
元支援員の柳信介容疑者が逮捕されると言う結末になりました。
県警の発表によると、柳容疑者は昨年2月12日午前10時ごろ、同園で作業中だった知的障害がある利用者の男性(21)に暴言を浴びせながら胸ぐらをつかんで体を揺さぶり、額を3回平手打ちした疑いがある。
この障害者虐待事件が内部告発されるまでの経緯が昨夜の「mr.サンデー」で紹介されていたので放送を見たのですが、その恣意的な編集により視聴者に誤解を与えかねない内容になっていたのではないかと思い、この記事を書いています。
放送の内容
障害者虐待が内部告発されるまで
大藤園での障害者虐待は、ある良心的な職員の方が暴行の模様をビデオで隠し撮りし、それがテレビ局に持ち込まれたことで発覚しました。
放送では、その職員の方が暴行を目の当たりにし、職場の会議で議題に上げるも全く相手にされず、むしろ村八分にされて苦悩する様、最終的に告発を決意して、他の職員の目をかいくぐりビデオ撮影を決行し、それを元に暴行を告発するまでを再現ビデオで描いていました。
実際の暴行の様子も放送されましたが、椅子に座っていた被害者が椅子から転げ落ちるまで頭を叩かれていたり、正視に堪えない内容でした。
とまぁここまでの内容には文句はないのですが、ここから先がひどかった。
手のひらを返すように、大藤園擁護
まず、利用者である障害児達の家族の意見が紹介されたのですが、その内容が、
「施設が無くなると困る」
「子供は柳容疑者になついている」
「柳容疑者のことを悪く思っていない」
などと、大藤園と柳容疑者を擁護する意見ばかり。
さらには、柳容疑者にも優しい一面があるとして、「他の利用者にからかわれた障害者に優しい言葉をかける柳容疑者」の様子を動画で放送していました。
悪いヤツだと思っていたけど、実は良いヤツなんじゃね?
という印象を視聴者に与えようとして編集したとしか思えませんでした。
ドメスティック・バイオレンスと同じ
暴力をふるった後は優しくなる、これはまさにドメスティック・バイオレンス(DV)の加害者と同じ行動様式です。
以下のサイトに詳しくでています。
http://www.4433.jp/dv/pattern.htmlwww.4433.jp
仲直りしてしばらくの間、加害者は人が変わったように優しくなります。しかし、時が経つとまた暴力です。そして暴力の後には優しい言葉をかけ…と、同じことが繰り返されます。
まさに柳容疑者の行動そのものですね。
上記サイトにはさらにこうあります。
暴力を受けている被害者は恐怖と苦痛でいっぱいです。だからこそ、その後に優しくされると普段以上に嬉しく感じてしまい、相手を許してしまうのです。 このアメとムチの繰り返しこそが被害女性の感覚を麻痺させ、DVから逃れられなくさせるのです。
大藤園の利用者の方々も、殴られた後には優しくされて嬉しく感じてしまい、逃れられない状況になっていたのかも知れません。
編集の仕方で与える印象は全く違う
今回の放送では、
障害者に暴行する柳容疑者
> 障害者に優しい言葉をかける柳容疑者
という順で放送されていましたが、これが逆に、
障害者に優しい言葉をかける柳容疑者
> 障害者に暴行する柳容疑者
だったらどうでしょうか?
大藤園と柳容疑者に対する視聴者の印象は、全く違ったものになったことでしょう。
まとめ
テレビというメディアは、情報の流れが一方通行です。後から振り返ろうと思っても放送はどんどん進行してしまい、視聴者は与えられた情報を鵜呑みにするばかりで、反芻する余裕がありません。
とくに今回のmr.サンデーのようなニュースショーでは、恣意的な編集により情報操作をすることが容易ですので、テレビを見るときは注意深く考えながら見て、自分の軸を失わないようにするのが肝要だと思いました。
では