歌舞伎十八番に倣ってハリウッド十八番÷3を勝手に選出してみた
さて
最近のハリウッド映画はリブート/リメイクがブームのようで。
先日自分が観に行った、「ターミネーター/ジェニシス:新起動」は正確にはリブートとは言えないけども、スパイダーマンとかは何度リブートしたら気が済むんだ!ってくらいリブートしている。
制作会社の立場からすれば、ストーリーが既にでき上がっているし、ある程度興行成績の予測もたつから投資をしやすいこともあってリブート版が流行っているんだろうなと思っている。
リブート版ではストーリーは丸分かりとは言え、演じている俳優も違えば、VFX技術の進歩によって映像も洗練されたものに変わっていくので、観る側としてはやっぱり楽しいのである。
例によって無駄に長いので、時間のない方は「ハリウッド十八番÷3を勝手に選出してみた」へお進みください
ハリウッドリブート作品と歌舞伎の相似性
このハリウッドでリブート映画が続々制作される構造が何かに似ているなぁと思ったのだが、それは繰り返し上演される歌舞伎の演目だった。
東銀座の歌舞伎座へ行けば、12ヶ月の間月替わりで様々な演目が興行されているわけだけど、中でも何度も繰り返し演じられる演目がある。
例えばメジャーどころ*1で言えば
- 勧進帳
- 廓文章 吉田屋
- 菅原伝授手習鑑 寺子屋
とかまぁいろんな演目が繰り返し演じられている。
歌舞伎座で筋書き(映画で言うプログラム)を買うと、巻末に過去に同じ演目が上演されたときの配役が一覧になっていてそれを読むのも楽しいのだけど、「仁左衛門の伊左衛門(吉田屋)は当たり役だったよね」とか、「いやいや勘三郎の伊左衛門もなかなかだった」とか語り合うのが楽しかったりする(のだと思う)。
歌舞伎のメジャーな演目の場合、ストーリーはあらかじめみんな分かったうえで観に来ていて、役者の演技や役者そのものを観に来ていると言う側面が強い*2。
高度に一般化された物語は神話化する
歌舞伎と同様にハリウッド映画でも、同じ筋書きをキャストを替えて演じさせて客を呼ぶと言うことが行われつつあると言える。
ここでひとつ言いたいのは、「高度に一般化された物語は神話化する」ということ。
例えばターミネーターシリーズは、
不死身のロボット兵が母ちゃん殺しに来た
だし、
スパイダーマンは
蜘蛛に咬まれて蜘蛛人間になっちゃった
だし、
バットマンは
暇を持て余した金持ちの遊び
と言えるであろう。
そして、神話化された物語は新たな物語の原型となり、繰り返し語られていくのである。
ハリウッド十八番÷3を勝手に選出してみた
前置きが長くなったが、これまでにリブートされ、今後もリブートされ続けていくであろう、ハリウッドの神話的作品十八番(÷3)を挙げたいと思う。
数えていったら18作品もなかったので、6作品で許してください。
1. ターミネーター
「不死身のロボット兵が母ちゃん殺しに来た」
ターミネーターシリーズはなんのかんの言ってジェームズ・キャメロンが監督したオリジナルのT1が一番好きだな。T2はまだしも、それ以降の作品はT1を超えられていないと思う。
最近公開された、T5にあたる「ターミネーター/ジェニシス:新起動」は個人的にはなかなか好き。
2. スパイダーマン
「蜘蛛に咬まれて蜘蛛人間になっちゃった」
スパイダーマンは2002年から2007年にかけて制作されたトビー・マグワイア主演のトリロジーと、そのリブートで2012年と2014年に公開されたアンドリュー・ガーフィールド主演のアメイジング・スパイダーマン2作品(通称「アメスパ」)がある。
前者はヒロインがブサイクなので好きじゃないんだけど、グリーン・ゴブリン役でウィレム・デフォーが出てくるのがサイコー。後者はヒロインのエマ・ストーンが可愛過ぎて困る。
2017年以降、新たにリブートされるとの噂。
3. バットマン
「暇を持て余した金持ちの遊び」
バットマンの映画化作品、あらためて調べるといっぱいあった。1989年から1997年にかけて制作されたティム・バートンとジョエル・シュマッカーのシリーズ4作品と、2005年から2012年にかけて制作されたクリストファー・ノーラン監督によるダークナイト・トリロジー。
ティム・バートン監督の2作品(「バットマン」、「バットマン・リターンズ」)は、監督の主たるテーマである「フリークの悲しみ」がよく描かれていてこれはこれで好きだったな。ミシェル・ファイファーのキャットウーマンもセクスィーだった。
だが、バットマンの映画化作品ではやはりノーラン監督のダークナイト・トリロジーが傑出している。特に急逝したヒース・レジャーがジョーカーを演じた第2作、「ダークナイト」は映画史に残る傑作。
まだ観てないヤツはとっとと観ろ。
バットマンシリーズの次回作は、なんと次項で紹介するスーパーマンと対決する映画とのことで、なんだか興ざめ。
4. スーパーマン
「宇宙人が電話ボックスで生着替え」
スーパーマンは、1978年から1987年に制作されたクリストファー・リーヴ主演の4作品と、2006年に単発で制作されたブランドン・ラウス主演の「スーパーマン リターンズ」、2013年のヘンリー・カヴィル主演「マン・オブ・スティール」がある。
2006年の映画化作品は全く想定の範囲外だった。今回初めて知った。
クリストファー・リーヴのスーパーマンは子供の頃テレビ映画で見たけど、地球の周りを高速で回って時間を逆回転させると言う荒唐無稽なストーリーにたまげたな。
次回作は先にも触れた「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」で、ヘンリー・カヴィルが引き続きスーパーマンを演じるとのこと。バットマン役にはベン・アフレック。この人ちょっと間の抜けた顔をしていて、暇を持て余した大富豪の役には似つかわしくない気がするけど。
5. 猿の惑星
「NY観光の目玉、自由の女神」
そのラストシーンがあまりに有名な映画「猿の惑星」の第1作は1968年公開。チャールトン・ヘストンが主演。それから1973年の「最後の猿の惑星」まで計5作品が制作された。
2001年にはティム・バートン監督によるリメイクが、そして2011年、2014年には地球が猿に支配されるまでの前日譚を描いた2作品が制作された。
ちなみに「猿の惑星」の原作者であるフランス人作家のピエール・ブールは映画「戦場にかける橋」の原作も書いている。
6. ロボコップ
「オレ、警官だけど機械の体を手に入れました」
奇才ポール・バーホーベン監督による第1作が公開されたのが 1987年、その後監督を替え「ロボコップ2」「ロボコップ3」が制作された。
2014年にリメイクされたが、リメイク版にはゲイリー・オールドマンやマイケル・キートンなどの豪華キャストが出演した。
「ロボコップ2」が公開された当時自分は中学生だったのだけど、映画仲間のパンゲ君がロボコップにハマって、学校で「ぱーぱかぱーぱーぱぱらぱー」と言うあのテーマ音楽を口ずさみながらロボコップの真似をしていたのを思い出す。
まとめ
ついつい興が乗って長い記事になってしまった。
あと30年くらいしたらまたターミネーターがリブートされて、それを観て「やっぱりシュワルツェネッガーのオリジナルの方が良いな」とか言ってそう。
50年後までには「スター・ウォーズ」もリブートされていると思う*3。
あ、ちなみに今年公開される「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」はリメイクでもリブートでもないから。
言うまでもないか。
この記事を読んで、他にも候補となる映画作品があるぞ!と思われたら、お知らせ頂ければ幸いです。
では
*1:http://www2.ntj.jac.go.jp/unesco/kabuki/jp/5/5_04.htmlwww2.ntj.jac.go.jp
*2:映画のプログラムだと導入部分までのあらすじしか書かないのに対し、歌舞伎の筋書きにはストーリーが最後まで全部書いてある。
*3:ちなみにジョージ・ルーカスが神話論を意識しながらスター・ウォーズを書いたのは有名な話