創造力が低いので英語を勉強してきました
さて
昨日はてブのホッテントリに入っていた以下の記事。
創造力が低い人ほど、英語を勉強する。楽天の「重要なことなので日本語で失礼します」は最高のギャグ。 / リーディング&カンパニー株式会社はてブユーザは英語学習ネタが好きなのか、いらつくタイトルに釣られたのか、人気の記事。8割引用で読みにくいのと、引用の数字をクリックすると直接amazonのリンクに誘導されたのでムカツイタ。
2015/08/25 23:05
「創造力が低い人ほど、英語を勉強する。楽天の「重要なことなので日本語で失礼します」は最高のギャグ。」ってタイトルがいかにも釣りっぽい。
5回通読したけど自分の理解力が悪いせいか、筆者の夏目くんが何を言いたいのかよく分からなかった。
文章も8割方が引用で、しかも引用の数字をクリックするとなぜか直接アマゾンのリンクだったりして。
夏目くんの記事を読んで、なんだかもやもやしたので吐き出してみることにする。
日本人の9割に英語はいらない
夏目くんの言いたいことのうち、賛同できる点もある。
夏目くんが紹介している成毛眞氏の「日本人の9割に英語はいらない」は自分も読んで、成毛氏の言い分は至極もっともと納得した。
実際に日々の業務で英語を必要とする人は日本人の1割も居ないだろうと確かに思う。
ユニクロや楽天が社内公用語を英語にして会議を英語で行うってのも確かにギャグっぽいのだけど、これらの会社は積極的に外国人社員も登用していそうだから、そういう意味では英語で会議をやる意味があるのかも知れない。日本人だけの会議を英語でやるのはたしかに無意味だけどね。
個人的な経験として、かつてのボスが英語にかぶれて月に1回は英語で会議をしようと提案した。実際にやってみるとそれはまぁひどいもので、お互いにうまくもない英語で話しあうから意志疎通はできないし議論も深まらないし。英語力に自信のある人間だけが発言して、英語力の自信のない人は全く発言しないようになってしまう。正直、こんなの意味ねーよなと思っていた。
重要な議論は最初から日本語でやるべき。外国人が相手ならば、共通語としての英語を使えば良い。
アメリカやイギリスは政治・文化の中心地
夏目くんの論旨がおかしくなってくるのは、英語が国際共通とになっているのは英米の策略うんぬん言い始めるあたりから。
現に、アメリカは音楽の輸出だけで年間約1兆7000億円を稼ぎ、イギリスは本、映画、そしてテレビ番組の輸出で約9000億円の利益を上げていますが、このように数字で見るとすごく説得力がありますが、むしろ数字に表れない影響力の方が、アメリカやイギリスにとっては重要なのかもしれません。
アメリカの音楽が輸出されているのは、純粋に市場規模がでかいのと、単純に魅力的な商品が多いせいだろ。洋楽ファンはみんな英語喋れるとでも言うのか。
イギリスの本や映画が輸出されてるのも、純粋にコンテンツに魅力があるからでしょ。
本で言えば、例えば北欧系ミステリーなんて既に一ジャンルを形成しているよ?原書は英語じゃないと思うけど、コンテンツに魅力があるから輸出されているよ?。
あとね、アメリカやイギリスに報道機関の人間が多く派遣されているのは、そこが政治・経済・文化の発信地だからでしょ。まぁこれは英語が世界共通語になっていると言うことと不可分なんだけど。
英語を勉強しても日本の文化は変わりません
夏目くんの論調は後半さらにおかしくなってくる。
さらに楽天の三木谷社長や安倍総理は、「大学の授業の5割」を英語で行うべきなどと主張していますが、どんどん日本に英語が普及すれば、日本人の良さである「思いやり」や「気配り」などの道徳心がどんどん薄れ、長い歴史のある日本文化自体が無くなってしまいます。
ちょっともはや何を言っているのか分かりません。英語勉強したくらいで日本の文化は改造されません。
しかし大学の授業を5割英語でやれってのも狂った提案だな。今や大学全入時代で一部の大学では入学後にアルファベットの書き方から学習し直してしてるような状況なのに、授業を英語でできるわけないだろ。
何のために先人達が苦労して英語やオランダ語の教科書を日本語に翻訳してきたと思ってるの?日本人なんだから難しいことは日本語で考えたら良いでしょ。
ちなみにまた個人的な話になるけど、以前アメリカに行ったときにタイ人の留学生と話す機会があって。その時にタイの大学では英語で書かれた教科書(要するにアメリカやイギリスで書かれた教科書)を使って勉強していると言われて、「日本では日本語の教科書で勉強しているよ」と言ったら心底驚かれ、羨ましがられたことがあったな。
一々つっこむのも面倒になってきたので
夏目くんの言いたいこと分かる面もあるのだけど、全体的に彼の記事は何となく気持ち悪く感じる。なぜかと考えてみたのだけど、論拠が一々怪しいのと「日本の文化は素晴らしい」っていう自己陶酔感が透けて見えたのが原因なのかなと思った。
それと、英語をできるようなりたいんだけど出来ないから、「英語なんて出来なくても良いじゃん?」って理由を無理やり数え上げているような違和感がある。
喩えて言えば、好きで好きでたまらない女の子がいて粉かけてるんだけど全く振り向いてもらえないもんだから裏でその女の子の悪口を言っているような、厨二男の烏賊臭さを感じてしまったのだ。
創造力の低い僕はそれでも英語を勉強します
正直言えば今の職場・業務内容は英語を必要としない9割に入っているけど。それでも業界の最新情報を入手しようと思えば英語を読む必要があるし、年に1回くらいは唐突に業務で英語を使う機会もあるわけで。一応日々英語学習には取り組んでいるつもり。
英語なんて必要になったときに勉強すれば良いって夏目くんは言うけど、付け焼き刃でモノになるほど語学学習は甘くないと思うの。
だから毎日少しずつ英語をやるの。
業務以外でも英語が使えたら世界が広がるよね。Facebookなどを使えば世界中の人と交流できるし、本や映画も原語で楽しむことが出来る。
英語は事実上の世界の共通語だから、英語が喋れればとりあえず世界中どこに行っても何とかなる(気がする)。
本で言えば、翻訳されることで翻訳者のフィルターを通った文章しか読めないわけで、原作者の息遣いみたいなことを感じ取れない。
映画で言えば、吹替えになっちゃうと演じている役者さんの肉声が聞けないから論外としても、字幕スーパーも戸田奈津子先生のシビアなフィルターを通した縮訳になっているから、本来の映画を楽しむことが出来ない。
まぁ自分は映画を字幕なしで楽しむにはまだまだ至っていないから、勉強が足りませんな。
後は怪しいウェブメディアの紹介している海外翻訳物の記事のうそを見抜けるようにもなるよ。まぁこれはどうでも良いか。
そんなわけで、創造力の低い僕はそれでも英語を勉強します。
まとまりがなくなってきたので、ここらで失礼。
では
追記:中の人からご指摘を受けましたので、一部内容を修正しました。2015/08/26 22:56