司法試験の問題漏えい事件に思う事

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さて

話題のニュースに突っ込むシリーズ。今日は明治大学法科大学院の教授が司法試験の問題を教え子に漏えいした疑惑について考えてみたい。

こちらが第一報のニュース。

明大法科大学院教授立件へ 司法試験漏えい、特捜部 - 47NEWS(よんななニュース)

この事件、「教え子だった受験生の20代女性」はお咎めなしなの?不正して合格した人間が法律家になるの?

2015/09/08 12:34

法務省などによると、青柳教授は今年5月の司法試験で問題作成などを担当。論文式試験の公法系科目のうち憲法に関する分野の出題内容を、教え子だった受験生の20代女性に教えた。

法務省、明大大学院教授を告発=司法試験問題漏えいで―東京地検が本格捜査 (時事通信) - Yahoo!ニュース

受験生にもちゃんとお咎めがあったのね。5年間受験できないとなると他の進路を探すしかないだろうけど、経歴に瑕がつきまくりだから職探しも難航しそうだな。

2015/09/08 12:53

漏えい先はこの女性1人で、法務省は女性を採点の対象から除外するとともに、今後5年間、司法試験などを受験することを禁止する行政処分を行った。

司法試験とは

ここであらためて司法試験について振り返ってみる。

司法試験は、日本における法曹資格付与のための試験の1つであり、平成14年法律第138号(司法試験法及び裁判所法の一部を改正する法律)による改正後の司法試験法に基づいて行われる資格試験。

司法試験は法曹資格、すなわち裁判官、検事、弁護士になるために必要な資格試験である。

その受験資格は、

司法試験を受験するためには、法科大学院課程を修了、または、司法試験予備試験の合格のいずれかが必須条件である。 法科大学院を修了した者は、その修了日後の5年度内に3回の範囲内で司法試験を受験することができる。
(中略)
2014年(平成26年)5月、改正司法試験法が成立し、5年以内であれば回数の制限なく受験できるようになった。

今回、問題を事前に知って試験に臨んだ女性は、今後5年間司法試験を受けられない処分を受けたという事で、これはすなわち半永久的に受験資格を失ったに等しい。

受験資格が消滅した場合(俗に「三振」と呼ばれる)、法科大学院を再び修了するか、予備試験に合格すると再び受験することができる。

とWikipediaには書いてあったけど、そこまで根性ないだろ。

漏えいの実態は

教え子の答案「漏洩なければ作成困難」 司法試験問題 (朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

事前に問題を教えるにしても、あたかも初見であるかのような回答を作るよう指導しておけばバレなかったんじゃないか。真面目な(だった)法学者だから悪知恵が廻らなかったんだろうな。

2015/09/08 13:43

論文試験は800点満点で憲法には100点が配分されていた。解答用紙は憲法だけでA4判で8ページ分だったという。6~8月に論文式試験の採点が始まると、この女性の答案だけが「情報漏洩(ろうえい)がなければ作成困難」な内容だったという。疑問に感じた別の考査委員が情報提供し、法務省が調査に乗り出した。

論文試験の800点中の100点に相当する部分の問題が漏えいしていたとの事。

事前にハイレベルな解答を準備し過ぎた結果バレたという事だろう。もう少し悪知恵の働く人物であれば、80点くらいの解答を準備してバレなかったのではないだろうか。

800点のうちの100点分という事で、そんなにインパクトがないようにも思われるけど。試験の準備をするに当たって、膨大な範囲をまんべんなく勉強するのはなかなか難しい。「これは出題されそうにないな」という部分について、敢えて捨てる事で他の分野に勉強時間を回すというのは戦略として有用だ。学校の定期試験レベルだと充分通用するテクニック。

司法試験のように出題範囲が膨大かつまんべんなく出題される試験では、「捨てる」という戦略が取りにくいはずなのだが、今回の例のように事前に問題が分かっていれば解答を準備して暗記するだけで良いので、残りの時間を他の分野の勉強に割り振る事が出来たわけだ。これは圧倒的に有利だよね。

そう考えると、件の20代女性に対する処分は決して重いものではない。

さいごに

再発防止策としては、教職にある人間は出題者にさせないとするのが一番良いと思う。まぁ法学者なのに遵法意識や倫理観がない人間がいたってのが最大の盲点だったのだろうけど。

では