横浜・傾斜マンション問題で全棟建て替えを提案した三井不動産レは天才(褒めてはいない)
さて
横浜市で基礎のくい打ちが硬い地盤に達しておらず、マンションが傾いている問題が話題になっていますな。
はてなブログ界隈でも著名ブロガーの皆さまがこぞってこの問題を取り上げられています。
http://www.goodbyebluethursday.com/entry/2015/10/18/182216www.goodbyebluethursday.com
こういう問題を個人の責任に帰すのは組織としての責任放棄だし、今後同じ問題が繰り返される温床になるし、問題を起こした個人が今後でたとしたら絶対に隠蔽に走るだろうから良いことは一個もないだろう。
と言うのが本稿の本題ではなく、この問題の解決策として販売元の三井不動産レジデンシャル社が提示した「全棟建て替え」提案が凄いなと言うこと。
全4棟のうち1棟は問題なし
私がざっとネットで情報を漁った限りで分かったのは、問題となっているマンションは全部で4棟から構成されており、うち1棟(西棟)が傾いてしまっているらしい。そして、西棟を含む3棟でくい打ちやセメントのデータが偽装されていたことが判明している。
傾いたのはマンションの西棟。既に調査した28本のくいのうち、8本が固い地盤に達していなかったか、十分ではなかったことが分かっている。
(中略)
また、販売された全4棟のうち、傾きがあった西棟を含む3棟で、くい打ちやくいの先端を固めるセメント量のデータが計70本分改ざんされていたことが判明している。
つまり、4棟のうち少なくとも1棟は現状なんの問題もないと言うことだ。
マンション住人の意思統一の困難さ
全棟を建て替えると言うからには、現状全く問題ないその1棟の住人も建て替えに伴う引っ越し等の不便を余儀なくされることになる。
「団地型」で全棟建て替えを行うには、区分所有法に基づき、区分所有者と議決権の両方で「全棟の5分の4の決議」と「各棟の3分の2の決議」が必要となる。
全棟を建て替えるためには、全棟の5分の4の同意を得る必要があるとのこと。
件のマンションには全部で705戸の部屋があるらしい。現状問題の無い1棟の住人(単純計算でも176戸)からしたら、建て替えをするメリットが全くないとは言わないが、デメリットのほうがずっと大きいわけだから、建て替え決議に賛成するとは到底思えない。よって、建て替え決議に必要な全棟の4/5の同意を集めるのは不可能だろう。
責任を取っているように見えて無責任な提案
「責任をとって全棟建て替えます!」
と言えば一見聞こえは良いけども実際的には実現不可能な提案。それを分かっていて、三井不動産レ社はこの提案をしたのではないかと下衆の勘ぐりをしてしまう。
「うちとしては最善の提案をしたのですけど、住人の意思統一が図れないのでは仕方ないですねぇ」
とか言いながら、ノラリクラリとかわしつつ社会的関心が薄れるのを待つつもりなのではないか。
社会的なイメージアップを図りつつ問題を先送りする、ある意味天才的な提案だわ(褒めてはいない)。
問題の無い1棟を含めた全棟を敢えて建て替え対象として提示したところに底知れぬ悪意を感じてしまうのは自分だけだろうか。
マンションはもう怖くて買えない
持ち家か賃貸か、一戸建てかマンションかって言う二者択一問題はよく議論に上がるところで、正直自分はどっちでも良いなぁと思っていたのだけど、今回の一件でマンションを買うのは絶対にやめておこうと痛感した。
欠陥住宅が怖いと言うよりは、欠陥が判明したあとの問題解決が不可能、もしくは極めて困難であるというのが怖過ぎる。
マンションに住むなら賃貸で良いやと思ってしまう。その方が身軽だから。
今日はこれだけ。
では