映画「イースタン・プロミス」観た on DVD:クローネンバーグ監督はやっぱり天才

さて

TSUTAYAで借りてきたDVDシリーズ、「イースタン・プロミス」を観たのでそれについて語るとしよう。2008年日本公開、デヴィッド・クローネンバーグ監督。ヴィゴ・モーテンセン主演、他にナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル。

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あらすじは

ロンドンの病院で助産師として働くアンナ(ナオミ・ワッツ)のもとに胎盤剥離で大出血した妊婦の少女が運び込まれる。少女は亡くなってしまうが、胎児は命をとりとめた。少女の遺した日記を家に持ち帰るアンナ。日記はロシア語で書かれていたが、ロシア料理店のカードが挟まれていた。
アンナは少女の身元を割り出すためにロシア料理店を訪れるが、そこは実はロシアマフィアのアジトだった。アンナはそこでマフィアのボスの運転手を勤める謎の男ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)と知りあう。
少女の日記に記されていたある事実を知ってしまったアンナとその家族に危機が迫り・・・

というお話だ。

ヴィゴ・モーテンセンの漢の色気にやられる

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まーこの映画の魅力の(ほぼ)全てはヴィゴ・モーテンセンの漢の色気に尽きる。ロシア出身と言う設定なのでロシア語をしゃべったりロシア訛りの英語を喋ったりするのだけど、その圧倒的に冷徹な存在感と、しかしながら瞳の奥に隠された温かさ、「自分、不器用ですから」って肉体全体で表現しているような男の色気。

ヴィゴの役どころはマフィアの運転手で、ボスのどら息子(ヴァンサン・カッセル)に仕える立場。このカッセルがまた無能で使い物にならないくせに部下の前では虚勢をはるどら息子ぶりを発揮していて好印象。そんな使えない上司を持ってもクサる事なく淡々と任務をこなしていくヴィゴがカッコいい。

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時には「ホモでないことを示すために俺の目の前で女とヤレ」と言われ、それに従うヴィゴ(ロシアマフィアではホモは御法度なのだ)。使えない上司を持つと苦労するのは洋の東西を問わない。

これ以外にも映画後半でヴィゴ・モーテンセンの全裸シーンあり(しかも結構モロ出し)。

ファンは刮目して見よ!

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このシーンは実はかなりの見せ場なんだけど、ついつい視線がそっちの方にいってしまって集中できないのは減点要素か。

クローネンバーグ監督はやっぱ天才

クローネンバーグ監督と言えば、「ヴィデオドローム」「ザ・フライ」などぐちょぐちょぬらぬらしたグロ描写が得意な監督のイメージがあるけど、本作でも首をカッサバいての殺人シーンがあったり、生まれたばかりの赤ちゃんのぬらぬらした描写があったりとクローネンバーグ節が炸裂しているなぁと言う印象。

それ以外の部分はグロ描写はない代わりに、終止緊迫感のある画造りが続いてハラハラし通し。監督の力量だなぁ。

自分は一時期クローネンバーグ監督の作品にハマっていて、「エム・バタフライ」「クラッシュ(1996)」「イグジステンズ」くらいまではリアルタイムで劇場に観に行った。イグジステンズは自分的にはイマイチだったけど、前二者は名作だった。

「エム・バタフライ」はジョン・ローンの女装が拝める希有な作品。ファム・ファタールに入れ込んで身を持ち崩す男を演じさせたら右に出る者のいないジェレミー・アイアンズが最高にイイ。調べてみたらなんとDVD化されていない!VHSしか手に入らない。もうビデオデッキ無いよ!

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「クラッシュ(1996)」は同名の他の映画があるせいでちょっとややこしいことになっているのだけど、JGバラードの同名小説の映画化作品。自動車事故に性的に興奮する人々を描いた作品で、ロザンナ・アークエットがとにかくエロいんだなぁ。これはDVDがあるみたいだけど、マーケットプレイスの高額な中古しかない。ある種カルト映画だから是非一度は観て欲しい。

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久しぶりにまた観たくなったな。

さいごに

実はこの映画には大きなどんでん返しが隠されている。勘のいい人は早い段階でその秘密に気付いたのかもしれないけど、鈍感な自分は種明かしのその時まで全く真相に気付かなかったわ。

というわけで、残虐描写をちょい含むけれども耐性のある方には是非お勧めしたい。

では

95/100点