麻酔なしで歯を削られる拷問を受けた話
さて
初めにお断りしておくが、これは実話である。
私は幼少期の頃から、親から「局所麻酔薬にアレルギーがある」と言われていた。
3ー4歳くらいの時に高いところから落ちて頭を打って、頭が割れたことがある。落っこちたのと、その後病院に連れて行かれたことを憶えている。
この時に、麻酔の注射を打ってから傷を縫う処置を受けたのだが、どうやらその後何かが起きたらしく、それ以来局所麻酔薬にアレルギーがあることにされてしまった。
虫歯の治療で大学病院送りになる
時は流れてもうアラサーになった頃の話。
奥歯の虫歯が痛くなってきて、治療する必要が出てきた。だが、局所麻酔薬アレルギーの患者を受け入れてくれる一般歯科医がなく、やむなく某大学病院の歯科を受診することになった。
問診票に「局所麻酔薬にアレルギー」と書いたところ、担当医が「別系統の麻酔薬を取り寄せるから、それならおそらく大丈夫」と言ってくれた。
実際に、その別系統の麻酔薬を使って治療を開始したが、何の問題も起きなかったので安心していた。
1ー2週に1回くらいのペースで通院し、治療は順調に経過していった。
虫歯の治療って結構面倒くさくて、麻酔を打っては歯を削り、悪いところを除去したら詰め物の型をとって、仮詰めをしてっていうのを毎回少しずつチマチマとやっていくのである。
ある日激痛に襲われて
治療が順調に進められていたある日のこと、治療していた歯が急激に痛み始めた。
今までの普通の虫歯では感じたことがない恐ろしい痛みだ。自分は男だから体験のしようもないが、陣痛の痛みに匹敵するのではないか、それほど痛かった。
何かがおかしいと感じた自分は知人の歯科医に連絡をして聞いてみたところ、「歯髄炎の恐れがあり、緊急に治療してもらった方が良い」とアドバイスを受けた。
放置しておくと神経がやられて、神経を抜く必要があると脅された。
これは堪らんと思い、通っていた大学病院に連絡をした。時間外だったが、当直医がいて診てくれるとのことだった。
麻酔薬がみつからない
病院につくと早速当直医が歯を診てくれた。とりあえず歯を削って、開放する必要があるとかナントかの説明があった気がする。
「自分は局所麻酔薬のアレルギーで、いつも別の麻酔薬を使ってもらっている」
と言ったところ、なんとその麻酔薬が今はないとのこと。
どうやら主治医がどこか別の場所に薬を置いていて、必要な薬がみつけられないということだった。
まじかよ!
と思ったが、背に腹は代えられない。
「アレルギーが出るかも知れないけど通常の麻酔薬を使うか、それとも麻酔なしで治療をしますか?」
と当直医に尋ねられ、アレルギーで死ぬのも嫌だったしとにかく奥歯の痛みが辛過ぎて、一刻も早く解放されたかったので麻酔なしで歯を削ってもらうことを選択した。
治療という名の拷問開始
歯医者のドリルの
キュイーーーーーーン、キュルルルルルルル
っていうあの高周波の音、あれを聞くだけで痛くなってくるという人も多いと思う。
自分は全然歯医者は怖くなかったのだけど、この日ばかりはあの音を聞くのが怖かった。
ただでさえ痛い歯に、ドリルが当たると振動が伝わって痛みが倍増するのだ。
キュイーーーーーーン、キュルルルルルルル
アァアァアァアァァァァァヒィィィィィイイ
と口に出しこそしないが脳内で悲鳴を上げていた。
治療が終われば痛みから解放される、それだけを考えて麻酔なしで歯を削られる拷問を耐え忍んだ。
治療は30分ほどだったろうか、治療が終わる頃には嘘のように痛みがなくなっていた。
治療を終えて
治療を担当してくれた当直医(男)が一言
「痛みに耐えてよく頑張った!感動した!! おめでとう!」
とは言わなかったが、それなりのねぎらいのお言葉を頂いた。
二人はがっつり熱い握手をかわし、お互いの健闘を讃えあったのであった。そしてこのあと滅茶苦茶セックスした。
後日、主治医の外来を訪れると、
「いやぁ〜麻酔薬は(自分の)デスクの引き出しに入れてあったんだよね。鍵かけてるからどの道開けられなかったろうけど」
と言われて、心中はムカ着火ファイヤーだったが、オトナな自分は笑顔でやり過ごした。
さいごに
ちなみに、自分の局所麻酔アレルギーは後の検査によりガセネタだったことが判明した。
つまり自分は無駄に麻酔なしで歯を削られるという拷問を受けたことになるのだが、今こうしてブログネタとして活用できたので良しとしたい。
そしてこの事件以降、自分は大概の痛いことには耐えられるだろうなという自信が芽生えた。
では
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