インパルス堤下問題で考えた:医薬品についての情報は添付文書を読もう

f:id:iGCN:20170615224755j:plain

さて

お笑いコンビインパルスの堤下敦(39)氏が睡眠薬を服用後に自家用車を運転、そのまま寝入ってしまい警視庁から事情聴取を受けたという事件が先日起こった。

インパルス堤下が交通事故で謝罪会見 睡眠薬とアレルギー薬を同時服用「認識の甘さ」 (オリコン) - Yahoo!ニュース このエントリーをはてなブックマークに追加

会見で堤下は、運転前に服用していたのは、睡眠導入薬の「ベルソムラ20ミリグラム」、「レンドルミンD錠0.25ミリグラム」を1錠ずつ、アレルギー薬の「アレジオン錠20ミリグラム」を2錠だと説明。1ヶ月前からアレルギー症状に悩み、病院から処方されたもので、今回初めて服用したという。

会見では内服した薬3種類が実名報道されたようだ。睡眠導入薬のベルソムラとレンドルミンD、アレルギー薬のアレジオンを同時に飲んだとのこと。

自らインターネットで薬の情報を事前に調べていたといい「銭湯から自宅まで10分かからない場所。薬が作用するまで多少すると(情報を)目にしたので飲んでしまった」と話し、医師からは運転前の服用は控えるよう指導されていたことも明かした。

個人的には睡眠薬を飲んでから車を運転するなんて信じられないのだが、堤下氏はインターネットで調べた情報から、10分程度の運転ならば問題ないと自己判断して車に乗ってしまったようだ。医師はきちんと指導をしていたようだから、医師の責任が問われることは今回のケースではないのだろう。

薬剤名でググってみた

堤下氏がやったことをシミュレートすべく、処方された3種の薬剤についてググって上位に表示された記事を読んでみた。

ベルソムラ

「ベルソムラ」でググって1位に表示されたのがこちらのサイトだ。

ベルソムラ錠の効果と特徴【医師が教える睡眠薬の全て】

こちらは精神科のクリニックのホームページのようだ。院長先生が自ら書いているものと思われる。

こちらのサイトでは、ベルソムラが作用してくる時間について以下のように書かれていた。

ベルソムラは、服薬してから1.5時間ほどで血中濃度が最高値になり、半減期は約12時間と報告されています。

実際は飲んでから10-15分ほどで効き始めるため、ベッドに入る直前に服薬し、服薬後は歩き回ったりしないように推奨されています。(強調は筆者による)

確かに作用するのに10−15分とあるが、同時にベッドに入る直前に飲むよう注意喚起がなされている

レンドルミンD

「レンドルミンD」で検索すると、先ほどの精神科クリニックのホームページが3位に表示されていたので読んでみた。

レンドルミンDとは? 【医師が教える睡眠薬のすべて】

作用時間について書かれた部分を引用すると、

おおよそ15-30分で効果が発現しはじめ、1.0~1.5時間で最高血中濃度に達し、7~8時間で血中濃度が半分まで下がります。

とある。

これらの文言を読んで、10分くらいの運転は問題ないと勘違いしてしまったのだろうか?

アレジオン

「アレジオン」については7位に表示されたこちらの記事を読んでみよう。

アレジオンに眠気の副作用はある?効き目の強さは? | ヘルスケア情報サイト【ミナカラ】

アレジオンは比較的眠気の出にくい薬ですが、まったく眠くならないというわけではありません。アレジオンの添付文書によると、副作用として眠気や倦怠感があらわれる確率は0.1~5%未満です。

また、添付文書にはアレジオンの服用後には眠気があらわれることがあるため自動車などの運転の際には注意するよう記載されています。

作用時間については具体的な記載はなかったが、自動車運転に注意するという点は強調されていた。

堤下敦(39)氏の勝手な自己判断?

今回の調査では、幸運にも信頼の置けそうなサイトを見出すことが出来たが、このような良質なサイトが他の薬剤についても検索上位に出てくるかというと保証の限りでないだろう。

紹介したサイトに書かれたことを読む限り、自分だったらこれらの薬を飲んでから車を運転しようという気にはならなかったから、今回のケースに関しては堤下敦(39)氏の勝手な自己判断が産み出した事件だと思う。

薬について調べたければ添付文書を検索しよう

処方された薬品について調べようと思った時に、最も信頼のおける情報ソースは薬剤の添付文書である。これは薬剤の取り扱い説明書に相当するもので、適応症や用法用量、副作用、併用注意薬などその薬品について必要な情報がコンパクトにまとめられている。

添付文書を検索したい場合は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が提供しているこちらのサイトを利用するとよい。

添付文書情報メニュー

検索窓に薬剤名を入れれば、添付文書のPDFファイルをダウンロードすることが出来る。

ちなみにそれらの添付文書に書かれていたことを紹介すると、

ベルソムラ

f:id:iGCN:20170615223624p:plain

f:id:iGCN:20170615223856p:plain

レンドルミンD

f:id:iGCN:20170615223642p:plain

アレジオン

f:id:iGCN:20170615223700p:plain

睡眠薬2種については就寝直前に飲むよう指示されているし、ベルソムラに至っては内服9時間後の自動車運転にも影響が及ぶことが明記されいている。アレジオンも、やはり自動車運転に対する注意が明記されている。

製薬会社への風評被害も気になる

今回の堤下敦(39)氏の事件で一番被害を被っているのは、実名報道されてしまった薬品を作っている製薬会社なんじゃないかなと思っている。めっちゃイメージ悪化したと思うし、こういう報道があると同じ薬を飲んでいた患者が薬を飲みたくないと言ってやめてしまうケースもこれから出てくるんじゃないだろうか。

売上げ下がると思う。絶対。

さいごに

医薬品のことについてインターネットで調べた知識に基づいて自己判断をするのは非常に危険だと思う。薬品について調べたければ、今回紹介したPMDAのサイトを調べるのが一番確実。

では