【縦断勾配錯視】下り坂なのに上り坂に見える現象を体感した話
途中で平らになるエスカレーターっていいよね! pic.twitter.com/Y8Bk4HHYAE
— iGCNメンバー (@iGCN) 2017年10月12日
さて
まずは上記のツイートの画像をよく見ていただきたいのだが、これはJR三島駅構内のエスカレーターに乗った際に撮影した写真である。駅の南口から北口側に向かう地下通路に設置されたエスカレーターで、おそらく在来線の線路の下をくぐるために途中に平坦な部分が設けられている。
自分はこの「途中で平らになるエスカレーター」*1が何気に好きなので、他に人もいなかったので写真を撮ってツイートした。
この写真は登りエスカレーターに乗った状態で後ろを振り返って撮ったのだが、なんとなく、本来平坦になっている部分が上り坂のように見えませんか?(見えるよね、そういうことにして話を先に進めます)。
坂道錯視
このように下り坂が上り坂に見えたり、あるいは上り坂が下り坂に見えたりする現象を「坂道錯視」、学術的には「縦断勾配錯視」と言うらしい。昭和時代のテレビ番組で、「ボールが上り坂を上に向かって転がっていく!ミステリー!」みたいによく紹介されていたアレである。
ググって行き当たったこちらのサイトには豊富な実例が紹介されているので興味を持った方はご一読ください。
このサイトでは、縦断勾配錯視が生じる原理について以下のような推察が述べられていた。
知覚された水平線の位置に対して、道の消失点が上に来る(上り坂と知覚)か下に来るか(下り坂と知覚)の違いによるものでは?
あるいは、他に手がかりがなければ、凹状に勾配が変化するところでは、デフォルトで近坂が下り、遠坂が上りに知覚されるのかもしれない。
今回撮影した写真で言えば、道の消失点があるし、勾配が凹状に変化しているので、本来平坦な部分が上り坂のように見えたのではないだろうか?
アクアラインのトンネル
それで思い出したのがアクアラインの海底トンネルである。ご存知の通りアクアラインは神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ有料道路である。自分は海ほたるへ遊びにいくために川崎市側から自家用車で何度か走ったことがある。
トンネルに入ると最初は緩やかな下り坂になっていて、海底の一番深くに到達するとそこから道は水平に走っているはずなのだけど、長い下り坂をドライブしているうちに自分が水平な道を走っているのか、下り坂を下っているのか判然としなくなってきているために、本来水平になったはずの道が坂道のように感じられてついついアクセルを踏みこんでしまうことがあった。
スピードメーターを見て慌ててアクセルを戻したことを記憶している。これも一種の縦断勾配錯視だったのではないだろうかと思う。
さいごに
日常に思わぬ錯視が潜んでいるのは面白い。だが、高速道路で錯視に惑わされるのは事故の元なので注意をしたい。
では
*1:東京駅の中央線ホームのエスカレーターにもある