後に妻になる人と、はじめて一緒に見た映画は「落下の王国」だった

f:id:iGCN:20170428171429j:plain

さて

はてな匿名ダイアリーに投稿された以下の2エントリが話題になっている。

はてなーは映画デートするとしたらどんな映画を選ぶ?

昔の話だけど、後に夫になる人と付き合いだしたとき、はじめて一緒に見た..

前者は映画デートにお勧めの作品を尋ねた内容で、後者は前者に対するトラックバックで映画「マトリックス・リローデッド」を初デートで観に行った増田の思い出話がほっこりと描かれている。

これらの記事に触発されて、後に妻になる人と、はじめて一緒に見た映画について問わず語りに語ることにしよう。

はじめて一緒に見た映画は「落下の王国」だった

後に妻になる人と、はじめて一緒に見た映画は僕のチョイスで「落下の王国」だった。2008年の9月に本邦公開された作品だ。前月に出逢ったばかりでまだ付き合うか付き合わないかと言う頃のデートで、二人で映画を観に行くのは初めてだった。宇多丸さん御用達の新宿の映画館バルト9に観に行った。映画観賞後に、確か下の階にある中華そば青葉でラーメンを食べたことを憶えている。

映画「落下の王国」は、「ザ・セル」で知られるインド出身の映画監督ターセム・シンの劇場長編第2作に当たる作品で、衣装デザインを石岡瑛子が手がけている。

ストーリーは、

スタントマンの男が映画撮影中に大怪我を負い、半身不随となり入院する。怪我をしただけでなく、恋人を主演俳優に奪われたことを知り、男は自暴自棄になっている。入院中に知りあった少女に男はおとぎ話を語って聞かせる。次第に二人は親しくなっていくが、男の真の目的は、自殺するための薬を少女に盗み出させることだった・・・

というお話だ(ごめん、それ以上のストーリーは忘れた)。

f:id:iGCN:20170428172739p:plain

本作はスタントマンの男と少女の交流を描く現実世界の物語と、男が語るおとぎ話の世界を行ったり来たりしながら進行していく。時におとぎ話の世界に少女が入り込んだりすることもあり、二つの世界の境界は不明瞭だ。

f:id:iGCN:20150413112404j:plain

本作は13の世界遺産、24ヶ国以上でロケを行い、世界中の美しい建造物や風景が多数登場する。石岡瑛子がデザインした衣装と相まって、絵画を観るかのような様式的・構築的な美しいシーンが連続する。ターセム・シンならではの拘りが結実した作品だ。

f:id:iGCN:20080601204941j:plain
この旋回舞踊のシーンはことに美しい

映像の美しさのみならず、繰り返し奏でられるベートーベンの交響曲第7番第2楽章が悲劇的な雰囲気を醸し出して印象的だった。

映画観賞後のふたり

映画を見終わって、自分的には大いに感銘を受けてやや興奮気味に感想を後に妻になる人に語ったのであるが、彼女の方はさほど本作がお気に召さなかったようで、気のない返事をされてなんとなく会話が噛みあわなかった。

夫が言いにくそうに告白したところでは、「映画館で見たときもそんなに面白くはなかった」「でも、初めて一緒に見た映画が駄作というのは気分が下がるかもしれないから頑張って褒めていい思い出にしようとした」だと。

f:id:iGCN:20150413111702j:plain

僕にとっての後に妻になる人は、他人に気兼ねすることなく自分の思ったことを言える人だった。それは美点と言えば美点だが、夫婦と言う共同生活を送るには、それは諸刃の剣ともなりかねない。その後ふたりがどうなったかは敢えてここで語ることはするまい。

さいごに

映画のストーリーは別として、これ以上の美しい映画を自分は知らない。DVDが出たら買おうと思っていたのだが機会を逸してしまい、Amazonで今も一応売られてはいるものの1万円を超える高値がついていてちょっと手が出せそうにない(再販を大いに望んでいる)。

[asin:B001KUP8W4:detail]

もしTSUTAYA等で本作のDVDをみかけたら、ぜひ借りて見てみて欲しい。絶対に後悔はさせない。

最後に本作の予告編画像を貼っておくので、こちらだけでも見てみて下さい。絶対に全編観たくなると思う。

では