映画「ロッキー」シリーズ全作感想まとめマラソン

ロッキー@フィラデルフィア美術館

さて

来たる2019年1月11日に待望の映画「クリード 炎の宿敵」の公開を控えてにわかに私の中で「ロッキー熱」が高まっています。ちょうどいいタイミングでAmazon Primeの1ヶ月無料お試しキャンペーンに申し込むことができたので、映画公開までの間にロッキーシリーズ全作を一気に見てしまおうと考えました。「ロッキー」は折に触れて見返しているし、他の作品も全作鑑賞済みですが、折角の機会なのでね。

「クリード2」はアポロ・クリードの息子アドニス・クリードが、父をリングで殺した宿敵イワン・ドラゴの息子と因縁の対決をする話になっています。アポロ対イワンの対決、その後のイワン対ロッキーの死闘が描かれるのは「ロッキー4/炎の友情」なので、少なくともそこまで見ておけば「クリード2」の予習としては十分かと思いますが、できればその後の5、6そして「クリード」までは見返したいと思っています。

1作品鑑賞するごとに記事を更新していくつもりです。あらすじも感想もネタバレ全開でいくので、そこんとこよろしく。

それでは

いっくぞー

「ロッキー」(1976)

ロッキー・バルボア v.s. アポロ・クリード
ロッキー・バルボア v.s. アポロ・クリード

監督:ジョン・G・アヴィルドセン
脚本:シルヴェスター・スタローン
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
出演:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、バージェス・メレディス、カール・ウェザース
音楽:ビル・コンティ

「ロッキー」あらすじ

フィラデルフィアで暮らす三流ボクサーのロッキー・バルボアは、ファイトマネーだけでは食べていけず、高利貸しの借金取り立ての手伝いをしてなんとか生活していた。友人のポーリーの妹で、ペットショップで働くエイドリアンにほのかに想いを寄せていたが、生来の不器用な性格とエイドリアン自身も内気な性格であったため、なかなか距離を縮めることができずにいた。
そんなある日、ボクシングヘビー級世界チャンピオンタイトルマッチの対戦相手が怪我をしたため、チャンピオンであるアポロ・クリードの「地元のボクサーにチャンスを与える」という発案でロッキーに白羽の矢が立ち、5週間後のタイトルマッチの対戦相手に指名される。
本来であれば圧倒的な力の差がある二人、誰もがチャンピオンアポロによる一方的な試合運びを予想していたであろうが、実際に試合が始まると最初のダウンを奪ったのは挑戦者ロッキーであった。その後もダウンしてもダウンしてもなお立ち上がるロッキー。試合は最終ラウンド判定までもつれこむ。リング上で愛するエイドリアンの名前を叫ぶロッキー。リング上で抱き合うロッキーとエイドリアン。

「ロッキー」感想

シリーズの原点、映画「ロッキー」が公開されたのは1976年、今からもう40年以上前の作品ということになる。シリーズ全作を見た上で改めて見返してみると、後々の伏線といってもいいような事象が多々本作で描かれていることに気づいた。

例えば、深夜街角にたむろす少女をロッキーが家に送り届けるなんということないシーン。「悪い奴らと付き合うな、いい仲間と付き合っていい人間になれ」とロッキーがその少女に教え諭すのだけど、その少女、マリーはのちに「ロッキー・ザ・ファイナル」にヒロインとして登場してくる。

あるいは、ロッキーは記憶力が悪いという設定になっていて、借金の取り立て相手の名前や金額をいちいちメモしていくのだけども、映画「クリード」ではアドニス・クリードのコーチになったロッキーが練習メニューを書いたメモをクリードに渡そうとするものの、スマホで写真を撮ったから大丈夫と言われるシーンある。メモ魔のロッキーからしたら、スマホで写真を撮って済ませる若者の気持ちはわからなかったんだろう。

閑話休題

本作の見所は、やはりロッキーをはじめとする登場人物たちが皆、社会から除け者にされている、社会の片隅で誰からも認められることがなくひっそりと生きてきた人物であるという点だと思う。ロッキー然り、エイドリアン然り、またポーリーも。

ボクサーとしての素質に恵まれながら三流ボクサーに甘んじていたロッキーは、アポロに与えられたチャンスを必死の努力で見事にモノにして、まさにアメリカン・ドリームを勝ち取った。映画の終盤、満場の観客から上がるロッキーコールには胸が熱くなるものを感じた。

そんなロッキーの姿は当時のスタローン自身の状態の鏡像と言える。スタローンは本作で脚本・主演を兼ねているが、当時俳優としては全く芽が出ていなかったスタローンは、自身が書き上げた脚本を、自身が主演するという絶対条件の元映画会社に売って本作の制作にこぎつけたという逸話が残っている。本作によってスタローンはスターダムにのし上がり、その後の大活躍は皆さまもよくご存知のことだろう。

夢を追い求めて、決してあきらめなければいつか必ず叶うという、力強いメッセージがこの作品には込められている。心が弱った時にはいつも見返したい作品である。

ロッキー (字幕版)

ロッキー (字幕版)

  • シルベスター・スタローン
Amazon

↓「ロッキー」の感想記事は過去にも書いたので、よろしければご一読を↓
igcn.hateblo.jp

「ロッキー2」(1979)

ロッキー2

監督:シルヴェスター・スタローン
脚本:シルヴェスター・スタローン
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
出演者:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、カール・ウェザース、バージェス・メレディス
音楽:ビル・コンティ

「ロッキー2」あらすじ

世界チャンピオンのアポロと15ラウンドの死闘を繰り広げたロッキーは、試合後すぐに救急車で病院に搬送されて入院する。同じ病院に入院したアポロの病室を訪れたロッキーは「ベストを尽くしたか?」とアポロに尋ねる。その回答はたった一言「Yes」。
退院してすぐにロッキーとエイドリアンは結婚。一躍人気者になったロッキーにはCM出演の話が舞い込むが、口下手と文字をうまく読むことができないため、撮影はおじゃんになってしまう。出演料を見込んで時計や車を買ったり新居に引っ越したりと浪費をしていたロッキーは生活苦から精肉工場でのバイトを始めるものの、不況によるリストラでクビになってしまう。
一方その頃、アポロの元にはロッキーとの試合は八百長だ、真の勝者はロッキーだと言う誹謗中傷の手紙が多数届いていた。自分の力を正々堂々証明したいと考えたアポロはロッキーとの再試合を企画。エイドリアンの反対もあって乗り気でなかったロッキーだが、自分にはボクシングしかないと気づき、試合を受け入れることに。 身重の体を無理をしてペットショップでのバイトを続けていたエイドリアンが倒れてしまう。無事に男の子を産んだエイドリアンだが、余病を併発して昏睡状態に。トレーニングも放り出してエイドリアンに付き添うロッキー。やがて目を覚ましたエイドリアンがロッキーに一言「(アポロに)勝って」と。
そこから必死のトレーニングを積むロッキー。そしてアポロとの世紀のリマッチを迎えるのであった・・・

「ロッキー2」感想

本作で描かれるのは栄光を手にしたロッキーの挫折、そして一念発起して再び真の栄光を手にするまでの道中であり、まさに神話の構造をそのままなぞった作品とも言えるだろう。退院してからのロッキーのはしゃぎぶり、浪費ぶりは観ていてハラハラさせられるが、それも中盤以降の食い扶持に困って食肉加工の仕事を始めるもクビになるなどの困窮ぶりとの落差を見せるためだろう。

本作のメインのテーマはロッキーとエイドリアンの深い絆であろう。特に、深い昏睡から目覚めたエイドリアンが、それまではアポロとの試合に反対していたにも関わらず「(アポロに)勝って」と言うシーンは白眉であった。その後のアポロとの死闘も、前作よりもスケールアップした感があってとても良かった。

ヒット作の続編は往々にして駄作になることが多いけれども、本作は前作を超えて素晴らしい作品になったと思う。

[asin:B0167NJTY6:detail]

「ロッキー3」(1982)

ロッキー v.s. クラバー・ラング

監督:シルヴェスター・スタローン
脚本:シルヴェスター・スタローン
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
出演者:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、カール・ウェザース、バージェス・メレディス、ミスター・T、ハルク・ホーガン
音楽:ビル・コンティ

「ロッキー3」あらすじ

前作でアポロに打ち勝ちボクシングヘビー級の新チャンピオンとなったロッキーは、その後も順調に防衛線を重ね、我が世の春を謳歌していた。フィラデル美術館前にロッキーの銅像が建立されることになり、その披露式典で唐突に引退を発表するロッキー。しかしその場に居合わせたボクシングヘビー級世界ランク1位のクラバー・ラングに「ロッキーは弱い相手とばかり戦っている、1位の俺と戦え」と挑発を受ける。ロッキーはラングを相手にしようとしなかったが、妻エイドリアンを侮辱されて堪忍袋の尾が切れて、挑戦を受けることに。
しかしトレーナーのミッキーが突然降りると言い出す。これまでチャンピオンの座を長く維持するために弱い相手とマッチメイクしていたこと、ラングが相手ではロッキーには勝ち目がないと語るミッキー。そんなミッキーをなんとか説得してラングとの試合に臨むが、試合直前にミッキーは心臓発作を起こしてしまう。ミッキー不在で試合に臨んだロッキーは2ラウンドであっけなくKO負け、しかも試合後にミッキーは息を引き取ってしまう。
失意のどん底に沈むロッキーの元をかつての宿敵アポロが訪れる。「俺と戦った時、お前にはハングリー精神があった、虎の目をしていた。ラングにはそれがある。お前も虎の目を取り戻せ!」と諭すアポロと組んで、ロッキーはリマッチに向けたトレーニングを開始する。。。

「ロッキー3」感想

「ロッキー3」も前作と同様、栄光>慢心>挫折>復活という、物語の王道を行くようなストーリー展開である。話の流れがあらかじめわかっているので、観る方も安心して見ていられるというものである。

今回のロッキーの対決相手、クラバー・ラングは「B.A.バラカス。通称コング。メカの天才だ。大統領でもブン殴ってみせらぁ! でも、飛行機だけは勘弁な。」でお馴染み、コングことMr.Tが演じている。Aチームを見て育った自分には「ロッキー3」でほぼ同じ格好のMr.Tが粗野なヘビー級ボクサーを演じている姿を見るのはそれなりに衝撃的であった。

まさにハングリー精神の塊みたいな野蛮な男で、アポロの言う「虎の目」を持っているのだが、「ロッキー1」でもロッキー自身が虎の目を見せたことは記憶にない気がする。しかし、この「虎の目」、"Eye of the tiger"と題された本作の主題歌はなかなか格好いいと思う。

「ロッキー2」で描かれたのがロッキーとエイドリアンの家族愛だとすれば、本作で描かれたのはロッキーとアポロの友情、はっきりといえばブロマンスである。二人の合同トレーニングシーンの和気藹々ぶり、特に砂浜を二人でダッシュして、ロッキーのトレーニングが完成したと悟るや喜びを爆発させた二人が海に飛び込んでじゃれあうシーンはマニアであれば垂涎ものだろう。

ブロマンスつながりでいば、ラングとのリマッチ前にアポロが自身の星条旗柄のパンツをロッキーに渡すシーン。これが後に「クリード」へと繋がっていくので、ここを見逃していると「クリード」での感動が半減してしまうだろう。

本作は幕切れのシーンもすごくいい。男の友情っていいもんだな。

[asin:B0167NJT14:detail]

「ロッキー4/炎の友情」(1985)

ロッキー v.s. ドラゴ ロッキー4

監督:シルヴェスター・スタローン
脚本:シルヴェスター・スタローン
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
出演者:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、カール・ウェザース、ドルフ・ラングレン、ブリジット・ニールセン、ジェームス・ブラウン
音楽:ヴィンス・ディコーラ

「ロッキー4/炎の友情」あらすじ

クラバー・ラングを倒し再びチャンピオンへ返り咲いたロッキーは、家族や友人に囲まれ幸せな生活を送っていた。そんなある日、ソ連のアマチュアボクシングヘビー級王者イワン・ドラゴが訪米、世界ヘビー級王者であるロッキーとの対戦希望を表明した。記者会見をテレビで聞いたアポロはエキシビジョンマッチとしてドラゴとの対戦を希望。反対するロッキーに対して「戦士としての自分は変えられない」と語り、了承するロッキー。しかし、エキシビジョンマッチはドラゴ優位の圧倒的な展開を見せる。タオルを投げ入れて試合を止めようとするロッキーだったが、「絶対に試合を止めるな」というアポロの言葉に躊躇してしまい、結局アポロはリング上で命を落としてしまう。
悲しみに暮れるロッキーだが、ドラゴとの対戦を了承。しかし敵地ソ連での開催となり、ロッキーはアポロのトレーナーだったデューク、義理の兄ポーリーらとソ連へ渡る。ソ連からの監視の中、雄大な大自然を生かしたトレーニングを行うロッキー。一方のドラゴは、最先端の科学的なトレーニングを積んでいく。
完全アウェイの中で試合に臨むロッキー。当初容赦ないブーイングを浴びせかけられるが、不屈の闘志を見せるロッキーに対して徐々に観客席からも応援の声が聞かれるように。最終的にはロッキーコールが聞かれる中、ロッキーはドラゴをマットに沈めるのであった。。。

「ロッキー4/炎の友情」感想

相変わらずロッキーシリーズの話の展開は単純で、本作のあらすじを一言で要約してしまえば「親友アポロの敵討ち」という話になるのだが、ロッキーは決して憎しみからリングに上がるわけではなく、純粋に己の中の「ファイターとしての自分」を全うするために闘うのである。

映画を面白くするのには魅力的な悪役を配置するのが鉄則だが、イワン・ドラゴを演じたドルフ・ラングレンはその重役をしっかり全うしている。身長198cmの大柄で、対するスタローンが小さく見える。鍛え上げた肉体と、冷徹な表情がいかにもソ連人ぽく見せているが、本人はスウェーデン人。また、ドラゴ夫人を演じたブリジット・ニールセンのこれまたソ連人ぽい髪型もイイ。ニールセンはロッキー4出演後になんとスタローンと結婚する(のちに離婚)というオチもある。

本作は話が単純な上に尺が短く、さらに途中はミュージカル劇かと思うほど挿入歌を聞かせるシーンが多い。サントラも誰もが一度は聞いたことのあるような名曲が多く、本作を魅力あるものにしていると思う。アポロ対ドラゴのシーンで、アポロの入場に合わせてJBブラウンが歌うシーンは最大のみどころだ。

ロッキー4 (字幕版)

ロッキー4 (字幕版)

  • シルベスター・スタローン
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「ロッキー5/最後のドラマ」(1990)

ロッキーとトミー・ガン

監督:ジョン・G・アヴィルドセン
脚本:シルヴェスター・スタローン
製作:アーウィン・ウィンクラー、ロバート・チャートフ
出演:シルヴェスター・スタローン、タリア・シャイア、バート・ヤング、トミー・モリソン、セイジ・スタローン、バージェス・メレディス
音楽:ビル・コンティ

「ロッキー5/最後のドラマ」あらすじ

ドラゴを破ってアメリカに帰国したロッキーだが、会計士に騙されて破産してしまう。その上、脳に回復不能となるほどのダメージが蓄積しており、エイドリアンの説得もあって遂に引退を決意する。フィラデルフィアに帰郷したロッキーは、白人新鋭ボクサーのトミー・ガンを育て、トレーナーとして第二の人生を歩み始めてる。一方、思春期にさしかかった息子のロッキーJr.は、トミーに夢中になっていく父に反抗し始める。そんな中、プロモーターのジョージ・ワシントン・デュークがロッキーのもとに現れ、黒人ボクサーのユニオン・ケインとの対戦を打診する。ロッキーはその申し出を断るが、デュークはロッキーの愛弟子のトミーを引き抜いてしまう。
トミー対ケインのタイトルマッチが行われ、トミーはあっさりケインを打ち破るが、ロッキーを捨てたことを知っている観客からブーイングを浴びせかけられる。試合後、トミーは「ニセのチャンピオンだ」、「あの試合は八百長だ」と批難される。そのため別人のように変わってしまったトミーは、デュークの提案でロッキーとの師弟対決を望む。酒場でロッキーの前に現れたトミーは侮辱の言葉を浴びせながら試合を要求する。それを耳にした義兄・ポーリーがトニーに殴り倒されてしまう。ロッキーは遂にトミーに怒りをぶつけ、二人はストリートファイトで決着をつけるのであった・・・

「ロッキー5/最後のドラマ」感想

まずは鑑賞直後の私のツイートをご覧ください。

「ロッキー5」はロッキー正史の中でもなかったことにされている作品である。

いやね、途中まではすごくいい映画の予感をさせるんですよ。ロシアから帰還した父とやっと水入らずで過ごせると思っていたロッキーJr.が、突如現れたボクサー志望の若者によって自分の「息子」としての地位を脅かされて。父に認めてもらおうとボクシングのトレーニングをしたり、学校の不良を叩きのめしてみたり。でもロッキーはトミー・ガンに夢中で、全く振り向いてくれない。しかしそれほどまでに入れ込んだトミーにロッキーはあっさり裏切られてしまう。

最後にはリングに復活したロッキーがトミーを叩きのめして大団円、という流れを期待しているとさにあらず、王者決定戦をものにしたトミーがその足でロッキーのもとを訪れ、口論しているうちに大乱闘のストリートファイトが始まってしまうというとんでも展開。曲がりなりにもプロボクサーと元プロボクサーが街で喧嘩しちゃあかんだろ。ボクシングを冒涜していると思う。

こんなロッキーは見とうはなかった。

ロッキー5 (字幕版)

ロッキー5 (字幕版)

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「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006)

ロッキーと息子ロバート

監督:シルヴェスター・スタローン
脚本:シルヴェスター・スタローン
出演:シルヴェスター・スタローン、 バート・ヤング、トニー・バートン、ジェラルディン・ヒューズ、マイロ・ヴィンティミリア、アントニオ・ターバー
音楽:ビル・コンティ

「ロッキー・ザ・ファイナル」あらすじ

年老いたロッキーは、妻エイドリアンに先立たれ、彼女の名前を冠したイタリア料理屋のオーナーとして仕入れや接客に毎日忙しく働く日々だった。エイドリアンの命日に墓参りに行ったが、息子ロバートが来なかったことを寂しく思う。ロバートは会社で英雄の息子として扱われ、その影を疎ましく思っていたのだった。
ある日テレビ番組の企画で、現世界ヘビー級チャンピオンであるメイソン・ディクソンと現役時代のロッキーとのバーチャル試合が組まれ、大きな話題となる。ディクソンはあまりの強さにあっという間に相手をKOしてしまうのと、傲慢な態度からファンからブーイングを浴びせられる不人気ぶり。しかしそれを見たロッキーは自分の中のファイターの魂に火がつくのを感じた。
ボクシングライセンスを再申請するロッキー。渋る委員たちの前でひと演説ぶったロッキーに無事ライセンスが授与される。ロッキーは地元でこじんまりと試合をするつもりでいたが、先のバーチャル試合の反響を利用して一儲けしようとするプロモーターがディクソンとの試合の話を持ちかける。
試合の申し出を受けるロッキー。もちろん大方の予想はディクソンの圧勝だったが、蓋を開けてみればロッキーが善戦、試合は最終ラウンドまでもつれ込む。最終判定は2対1でディクソン勝利だったが、お互いの健闘を称え合う二人だった・・・

「ロッキー・ザ・ファイナル」感想

2以降のロッキーシリーズでは、過去の回想シーンがちょくちょく挿入されるのだけど、驚くべきことに本作では前作の「ロッキー5」のシーンは全く見られなかった。ロッキーの歴史的には「ロッキー5」はなかったことにされているということだ。

ストーリーの内容も「ロッキー5」と似通ったところがあり、実子との確執や、傲慢な若手ボクサーに対してロッキーが試合を通してボクサーとしてのあり方を教える展開など、「本来はこうあるべきだった『ロッキー5』」を本作で描いたと言ってもいいのではないだろうか。

本作では第1作の「ロッキー」にちらっと出演していた少女、マリーが大人になって再度登場するのも、これまでに全作を見返してきた私としては感動ポイントだった。

シリーズの締めくくりとしてふさわしい名作だと思う。

[asin:B01791MGQI:detail]

さいごに

ロッキーシリーズ全作はAmazon Prime ビデオで見ることができるので、この機会にぜひご登録を

では