妻が帰ってこない。2016冬

「独りの時間が欲しいとおっしゃっていたではないですか」

そう言って娘を連れて妻が実家に帰ったのが先々週末の事。表向きは育児疲れを癒すためと、老祖父母に孫との触れ合いの時間を作りたいという事だったようだが、単に僕との暮らしに疲れてしまったせいではないかと勘ぐってしまう。世にイクメンという言葉があり、自分もそれを自称しているから人並み以上に育児には参加してきたつもりだったが妻には不満が募っていたのだろうか。

娘が生まれてからの半年間、毎日毎晩専属オムツ替え係兼専属入浴係兼専属保湿クリーム塗り係兼専属耳鼻掃除係として娘の面倒を見てきた僕である。合言葉は「母乳を出す以外男にできない事はない」だったのだが、そんな献身的に育児参加していた僕に対していったい何が不満だったのか、僕には分からない。いや、何が不満か分かってもらえない事自体が不満だったのかも知れない。

しかしいくら僕が頑張って育児参加していると言っても日中は仕事で家を空けてしまうわけで、その間の育児バードンは妻が一身に担っていたわけだ。そうした事情も鑑みて僕は妻を快く実家へ送り届けたのだった。

妻が帰省してから、5年ぶりの一人暮らしを思う存分満喫しようと映画を観に行ったりネットフリックスで動画を見まくったり身体に悪そうなラーメンをたらふく食べたりと思いつく限りの悪行非道を愉しんでいたのだが、それもものの数日で飽きてしまった。

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