書評:横山秀夫「半落ち」

さて

久々の書評記事。横山秀夫著、「半落ち」を読了したので、それについて語るとしよう。

横山秀夫氏の著作を読むのは64以来2作目となる。

igcn.hateblo.jp

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本書「半落ち」については、2003年の第128回直木賞の最終候補まで残りながら落選。しかしながら読者の熱烈な支持があり、「週刊文春ミステリーベスト10」では1位に選ばれたとのこと。

お話をざっくりとまとめると、

現職の警察官である梶聡一郎はアルツハイマー病に侵された妻に懇願され、彼女を扼殺してしまう。自身の所属するW県警に自首してきた梶は、取り調べに対して素直に妻殺害を自供するが、妻を殺してから自首するまでの二日間の行動については固く口を閉ざし、一切語ろうとしなかった。

新幹線駅での目撃証言などから、梶がどうやら新宿歌舞伎町へ行ったらしいことが明らかになってくるが、妻を殺して歌舞伎町へ行ったと言うイメージの悪さから、警察幹部は事実を隠ぺいしようとする。

梶は本当に歌舞伎町に行ったのか?黙秘する二日間に何が起こったのか?謎は全て巻末で明らかに!

というお話だ。

ちなみにタイトルの「半落ち」とは、警察用語で、「一部自供した」という意味である。

横山秀夫氏は元新聞記者と言う経験を活かし、警察小説の名手として知られているのだが、先に読んだ「64」と読み比べると、作者の小説作法がワンパターンなものに感じられた。

「64」との類似点として思いつく点を挙げれば、

  • 登場人物はどれもこれも「人生こんなはずじゃなかった」と鬱屈した思いを抱えた中年男
  • 中央から派遣されたキャリア組のことなかれ主義の警察上層部と現場職員の軋轢
  • 刑事部と警務部の摩擦
  • 警察と記者クラブの軋轢
  • ある「秘密」があって、それをオブラートにくるみながら伏線を張りつつ話を進めて最後の最後にドーンとネタを明かす

とまぁこんなところか。

最後の「秘密」が最後に明かされるってのはまぁミステリー小説はどれもそうだと言われればそうなんだけどね。

2作しか読んでないのに語るのもおこがましいんだけど、警察の描き方があまりにもステレオタイプにはめ込み過ぎているように感じたのだった。

「64」で描かれた秘密は自分も読んでいて「えー!」と思わず声を上げそうになったのだけど、本作で描かれた「秘密」は正直、「なんだその程度のことかよ」と思ってしまって感動できず。

この「秘密」の部分に関して、直木賞の選考過程で議論があったようで、これが尾を引いて直木賞を受賞できなかったとまことしやかに語られているようだ。

詳しくは下記のブクマ↓記事を読んで頂けばいいのだが、ネタバレ全開。

http://www.geocities.jp/hyouhakudanna/messay/hanochi.htmlwww.geocities.jp

http://www5a.biglobe.ne.jp/~katsuaki/sesou49.htmwww5a.biglobe.ne.jp

ルビーの指輪こと寺尾聡の主演で映画化もされたようですが、多分見ない。

では


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