書評:「死のドレスを花婿に」/ネタバレなし感想

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さて

昨年「その女アレックス」がバカ売れしたフランスの作家ピエール・ルメートルの「死のドレスを花婿に」を読んだのでそれについて語る事にしよう。

ピエール・ルメートルの著作については過去にも書評記事を書いた(この記事のさいごにまとめて紹介する)が、本作を読了したことによってルメートル氏の日本語に翻訳されている作品は全て読んだことになる。

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本作のあらすじは。

不幸な事故で夫を亡くした主人公ソフィーは、有力政治家の息子のシッターとして働いている。ソフィーは事故がきっかけなのか、精神を病み睡眠薬が手放せない。さらに記憶障害も患っており、自身の行動を逐一手帳に書きつけねばならないほど。

ある日、仕事中に寝入ってしまい目を覚ますと預かっていた政治家の息子が絞殺されていた。部外者が出入りした様子もなく、子供の首の回りにはソフィーの靴紐が。自分が殺してしまったに違いないと悟ったソフィーの逃避行が始るが、彼女の行く先々で次々と人が殺されて行く・・・

というお話だ。

ミステリに殺人事件はつき物だが、相手を殺すに必要充分な殺人の動機を提示することは必須だろう。だが本書における殺人の被害者達は何の動機の提示もないまま無為に殺されて行く。主人公が精神を病んでいるせいだから仕方ないのか、これは日本で言うところの刑法39条(心神喪失者の行為は、罰しない。)のお話なのかなと思いながら、読み進めて行くと第2章以降の驚愕の展開に驚かされることになる。

ルメートル氏のミステリはこういった大どんでん返しが非常にうまいと思う。ここで詳細は書けないので、是非本作を読んで御自身の目で確かめていただきたい。

正直第1章を読んでいる間は「これはハズレなんじゃないか、期待していたのに裏切られたなぁ」と思っていたけど、2章以降の展開に、良い意味で裏切られて本作は忘れ難い1作となった。

では

ルメートル氏の他の作品の書評はこちら:
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