映画「進撃の巨人」を宇多丸さんはどう評価したのか?
さて
先日書いた記事、「町山智浩脚本の映画「進撃の巨人」を宇多丸さんはどう評価するのか?」が思わぬ検索流入数を獲得している。
宇多丸さんが映画「進撃の巨人」をどう評価するのかについて、多くの方が興味を持っていると思われるが、先の記事では実はタマフルムービーウォッチメンのコーナーで「進撃の巨人」がウォッチ候補作に選ばれる顛末を記したもので、肝心の宇多丸さんの映画評には触れていない(放送前にアップした記事だから当たり前だけど)。
本編の放送が土曜(8/8)の夜にあって、翌日にはPodcastがアップされたので、さっそく何度も聞いた。今回の記事では、宇多丸さんの「進撃の巨人」評について記したい。
https://itunes.apple.com/jp/podcast/raimusuta-yu-duo-wannou-ikuendo/id258405141?mt=2&uo=4&at=11lQPS
いいところもあれば、悪いところもある
宇多丸さんの評論を集約すると、
- 町山智浩氏の脚本は一定の評価
- 巨人の造形含めた特撮シーンも「よく頑張っている」
- 「頑張っている」特撮以外の平場のシーン(ドラマ部分)はとにかくダサい
- 樋口真嗣監督は、ドラマ部分は誰か他の監督に任せるべき
と賛否を織り交ぜつつも総合すると酷評だった。
樋口監督のことは落としつつも、脚本の町山氏には気を使ったと言うところか。
宇多丸さんの発言を抄出
全文書き起こす余裕はないし、だったらPodcast聞いてくださいなので、以下に宇多丸さんの発言を抄出する。「進撃の巨人」を4回見たと言う宇多さんに敬意を表して、自分もPodcastを少なくとも4回聞きました(笑)
まずは映画の褒めポイントを列挙
- 「タマフルなくして進撃(の巨人)なし!」
- 寄せられたメールの数は多め。「マッドマックス」や「バケモノの子」に次ぐ量。プリントアウトした紙の厚みが3cm
- メールの内容は、酷評2割、絶賛2割、過半数以上が「いいところもあれば悪いところもある」と言う評価
- アニメ版は原作に忠実で、立体起動装置の描写もアクションの説得力があって成功作。
- 実写化となるとハードルはアニメの比ではない。中世ヨーロッパ風の世界観が難しい。
- これ前編ってちゃんとタイトルとかで言えよ!
- ものすごーく頑張ってる!のは疑いの余地がない。頑張ってるんだ、この子は!
- とは言え、頑張ってるんだけどうまくいっていない
- 巨人描写は頑張っている
- ミストの終盤の「もう地球住めないわ」と言う感じが出ていれば大合格。
- 超大型巨人の描写は、「巨神兵東京に現る」の手法のブラッシュアップ。だけど、目が光るのはどうかな
- 中型巨人(ザコ巨人)のゾンビ感、オバケ感は原作の巨人のニュアンスとは違うが、「フランケンシュタイン対バラゴン」とかその続編の「サンダ対ガイラ」の系譜に連なる人型人食い怪獣モノの、笑っちゃうすれすれの不気味さが出ている
- 「大日本人」のあの感じを思い出す
- 人型巨大怪獣に至近距離から見られているシーンは「サンダ対ガイラ」オマージュ
- 「炎628」オマージュとおぼしき教会すし詰めからの惨劇シーン。残酷描写が容赦ないレベルまで踏み込んでいて頑張った!
- 原作から抽出した、人間が巨人に心が折れながら食われていく要素は的確。
- 主人公エレンへの心情的追い込みをグッときつくしている。短時間でエモーションを爆発させなきゃいけない劇場用映画向けのアレンジとして非常に正しい
- 軍艦島のロケシーンはスケール感がしっかり出てる。世界観としてしょぼく見えない。
- 狭いところですったもんだしているように見えた「隠し砦の三悪人」からは大進歩している
- 壁の存在感がしっかりしていて素晴らしい
映画を褒めていたのはここまで、以降批判が始まる。
- 「頑張っている」のは重々分かるんだけど、それ以外の部分のノイズが大きく、これまでの頑張りをあらかた帳消しにしてしまう勢い
- 平場のシーンがとにかくダサい
- 現実味がなさ過ぎて感情移入が困難なレベルのセリフ回し
- ハンジ(石原さとみ)のキャラの間が悪すぎて、コスプレしたオタクが笑えないコントやってるようにしか見えない
- マッシュポテトをいじっている感じ>「未知との遭遇」オマージュ?
- エレンがミカサにマフラーを渡すシーンの、エレンが取る謎の間。なに?変質者?なんでここで間を取るの?
- 一つのシーンで2回似たような静かな曲がかかる。1シーン1曲にしてくれ!
- 教会すし詰めシーンのあとのエレンの記号的な去り方。
- ミカサにおっぱい揉ませる戦争未亡人ヒアナ>「スターリングラード」のラブシーンを思い浮かべた。
- 横でセックスしている横で私たちもやりましょうみたいな、なにそれ乱交?
- スラッシャームービーと思えば「セックスしたら死ぬ法則」
- 見張りとかつけないの?バカなの?
- 蹴られたい女NO.1の武田梨奈に甘えた役をやらせるなんてアホか!
- 原作のリヴァイに当たるクールで最強で訳ありのキャラ=シキシマ
- 水原希子のミカサはハマっている、ミカサに見える。
- シキシマとミカサの関係は、「機動戦士ガンダム」におけるシャーとララみたいな関係、それをアムロが見てなんだここデキてんのかよ畜生
- シキシマがリンゴを齧ったり、ミカサに後ろからリンゴを齧らせたり。恥ずかしいベタな道具立て
- 誘惑者がリンゴ食べさせる、恥ずかしいリンゴ使い。辻仁成監督の2001年の「フィラメント」を思い出す。
- キリシマがミカサを呼び出して嫌がらせ的な話をはじめる場面はぎり(ぎり)コントになっちゃってる。
- 人の動かし方喋らせ方がかっこ悪い
- 立体起動がわりと自由自在に空を飛んでいるように見えて、立体起動という仕掛けに納得しづらい。
- 巨人の足をぐるぐる巻きにして倒して殪(たおす)>「帝国の逆襲」オマージュ
- イウォークだったら余裕で巨人皆殺しじゃね
- 前時代の遺物(ヘリコプタの残骸)がなんで壁の途中にあるの?壁って下から積んで作るんじゃないの?
- 樋口伸二監督は人物に対する演出力に問題あり。ドラマ部分は誰かに任せるべき。「のぼうの城」型と言うか、円谷英二と本多猪四郎コンビのように。
- 2度目以降、マイナスポイントに覚悟ができた状態で見たら、頑張っている方が際だって見えてくる。
- ハリウッドアクション大作/SF大作の真似ににはなっていない、オリジナルな世界に行こうとしている点は評価
- 日本語でラップするってこと自体が不可能な巨人に挑戦することだ!
- 後編も是非扱いたい
- リアルタイムに是非劇場でウォッチしてください
取り急ぎここまで
また聞き返して、必要があれば適宜追記修正します。
では