三方一両損の数学

さて

大岡越前守の名裁きの一つとして、「三方一両損」という有名な話がある。

左官金太郎が3両拾い、落とし主の大工吉五郎に届けるが、吉五郎はいったん落とした以上、自分のものではないと受け取らない。大岡越前守は1両足して、2両ずつ両人に渡し、三方1両損にして解決する。

というお話。

これを数学的に一般化するとどうなるかというのが本日のネタ。

n+1方x円損を考える

m円のお金があり、その所有権をn人が争っているとする。

ある親切な人(三方一両損における大岡越前)がx円を提供したとして、m円を独り占めした時と、m+x円をn人で分割した時の差額がx円に等しければ、n+1方x円損となる。

これを数式に起こして解くと、

m-\frac{m+x}{n}=x
mn-m-x=nx
(n+1)x=m(n-1)
x=\frac{m(n-1)}{n+1}

となり、mとnが与えられれば、xを求められることになる。

三方一両損の場合は、m=3、n=2であるから、

x=\frac{3(2-1)}{2+1}=1

で、大岡越前が1両を提供すれば解決するとわかる。

フミコフミオ家の遺産相続争いの場合

三方一両損を一般化しようという試みの発端になったのが、昨日バズっていたみんな大好きはてなブロガーのフミコフミオ氏のこちらの記事。

祖母が遺した休眠口座をめぐって親族が醜い争いをしています。 - Everything you've ever Dreamed

詳細は読んでいただくとして、フミコフミオ氏の祖母が残した15000(端数覗く)の遺産を母・伯父・叔母の3人が争っているという状況。

先ほどの数式に当てはめれば、m=15000、n=3となるのでこれを解くと、

x=\frac{15000(3-1)}{3+1}=7500

となる。

資金提供者が増えた場合は?

これだけだと面白くないので、資金提供者が増えた場合を考える。親切な人物がy人現れて資金提供を申し出たとすると、資金の総額はm+xy円となるので、

m-\frac{m+xy}{n}=x
mn-m-xy=nx
(n+y)x=m(n-1)
x=\frac{m(n-1)}{n+y}

と解ける。

フミコフミオ氏の例で奥様にも資金提供を依頼できたとすれば(y=2)、

x=\frac{15000(3-1)}{3+2}=6000

となる。

15000 + 6000 x 2 = 27000を3人で割って9000。

15000からは6000の損という計算。

もしもフミコフミオ氏がクラウドファンディングに成功したら?

遺産相続争いを円満に解決するため、フミコフミオ氏がクラウドファンディングで97人の資金提供者を集めることができたとすると、

x=\frac{15000(3-1)}{3+97}=300

となる。

15000 + 300 x 97 = 44100を3人で割って14700。

15000からは300の損という計算になる。

さいごに

人間誰しもお金が絡むと醜い面を見せてしまうもの。

大岡越前も1両損と言いつつ、ちゃっかり経費で落としているかもしれず、善意から自腹を切る人なんでいるんでしょうかね。

では