山東(やまひがし)のおもひで
さて
今日は特に何事もない一日だったので、山東の思い出でも語るとしようか。
山東は横浜中華街にある、水餃子が絶品の中華料理店である。
店の正式名称は、「山東」と書いて「サントン」と読むようだが、我が家ではもっぱら「やまひがし」と呼んでいるので、当記事でもやまひがしと書くことにする。
やまひがしを自分に教えてくれたのは同級生のZ君だ。大学院生だった10数年前、当時同じ研究室にいたZ君が新車を購入したのだ。新車が嬉しかったZは、毎夜のようにドライブを楽しんでいたわけであるが、時々自分も誘われて同乗することがあった。夜風に当たりながらのドライブはなかなか楽しいものだ。
ある夜、「水餃子の美味い店があるから、中華街まで行こうぜ」と誘われ、都内からZの愛車で横浜までドライブ。湾岸の美しい工場夜景や、ベイブリッジの威容を楽しみつつ、あっという間に横浜に到着した。山下公園の駐車場に車を停め、東門から中華街に入る。中華街大通りを暫く行き、更生堂薬局の角を右に曲がった路地にやまひがしはある。
常に行列の絶えない店だ。今は改装して綺麗な店構えになってしまったが、当時はちょっと小汚いような店だった記憶がある。
入店したらすぐに水餃子を注文、あっという間に運ばれてくる水餃子は白い皿に山盛りで、湯気がもうもうと立つ。卓上の器に入っている、ココナッツの繊維成分入りの自家製醤油をたっぷりつけてかぶりつく。
モチモチの皮と、アンの肉汁、ココナッツのほのかな甘味と薫りが渾然一体となって豊かなハーモニーを奏でるのだ。
水餃子はあっという間に無くなってしまう。
それ以来、Zとしばしばやまひがしを訪れたし、ツレともしばしば訪れた。
その後、東京から引っ越したことなどもあり、足が遠のいていた。先日、数年ぶりに行ったら、店が小奇麗に改装されており、すぐ隣に二号店がオープンしているではないか。
驚いた。
水餃子の味は変わらなかったが、自家製醤油のココナッツ成分が気持ち少なくなってしまった気がする。残念だった。
だが、店員のそっけない対応は以前のママだったので、そこは安心した。
俺の中では、日本三大餃子に数えられる名店である。
横浜へ行く機会があったら、是非行くことをお勧めしたい。
では