書評:出口治明 部下を持ったら必ず読む「任せ方」の教科書
さて
私も一応アラフォーのオッサンなので、職場に行けば中間管理的な仕事をしているのである。部下を束ねて指導するのも重要な役割である。人事交替によって様々な特性の部下の指導を任せられる。放っておいても勝手に働いてくれる有能な若者もいれば、当然そうでないのもいるわけで、マネジメントという事を少し真面目に考えないといけないなと思い始めた今日この頃。
以前に購入して積ん読状態だった出口治明氏の著書、部下を持ったら必ず読む 「任せ方」の教科書 を取りだして読んでみたので、内容紹介と思うところをシェアしたい。
著者の出口治明氏はライフネット生命の創設者で、現在は代表取締役会長兼CEOを務めるお方。ネット界ではハトが選んだ生命保険に入る :: デイリーポータルZの記事に生命保険会社の社長として登場したことで有名な人物。
ライフネット生命創設に当たって自分より40歳近くも年下の岩瀬大輔氏をビジネスパートナーに選んだのもユニークだが、本書を読むと若者の意見を積極的に取り入れようとする氏の姿勢が分かってくる。
付箋した箇所を引用
今回意識高い系の人たちを見習って(?)付箋をつけながら本を読んでみた。よく意識高い系の人たちがFacebookとかで読んだ本につけた付箋の数を見せびらかすように写真をアップしていることがある、アレね。お前付箋つけすぎて、全部のページについとるやないか!って突っ込みたくなる、アレ。
以下、引用。
- 「話し合いはするけど、決定は一人で行う」のが協議のルールです。
- 上司がすべき"労務管理"とは、「部下に権限を与えたうえで、的確な指示をだすこと」
- ルールを明確にしておけば、任された側も迷わずに業務を進めることができる
- 【的確な指示を出すための4条件】
条件①「期限」を示す
条件②「優先順位」を示す
条件③「目的・背景」を示す
条件④「レベル」を示す - 「与えた権限の中で、部下にめいっぱい考えさせること」
- 「仕事を与え、部下を忙しく働かせる」のは、上司の務めです。
- 部下が10人いるのなら、まず10人全員が「毎回60点取れる」ようにするのがマネージャーの役割です。
- 社内に「プレーイング・マネージャーは置くべきではない」
- プレーヤーとして自ら「80点」を取り続けながら、部下全員に「60点を取らせる」のは、とてもむずかしい。
- 「人には、向き・不向きがある」「部下の得意なことを任せる」
- インプットの量を増やすには、「人から学ぶ」「本から学ぶ」「旅から学ぶ」、この3つ以外にありません。
- 人間の特性は、大きく「鉄タイプ」と「瓦タイプ」に分かれると思います。
- 鉄タイプ・・・仕事に負荷をかけるなど、叩いたほうが伸びるタイプ
- 瓦タイプ・・・時間をかけながら、じっくり育てがほうが伸びるタイプ
- 【リーダーの4条件】
条件① 強い思い
条件② 共感力
条件③ 統率力 - 【仕事を任される側のメリット】
① 存在価値が認められ、やる気が出る
② 成長する(視野が広がる)
③ 責任感が身につく - 「どんな部下でも、信頼したほうが得だ」
- 経営は「スピードが命」です。不得意なこと、苦手なことを勉強しているうちに、置き去りにされてしまうでしょう。
本書から学んだこと
出口氏の人間哲学は「人間ちょぼちょぼ主義」。上司も部下も同じ人間であり、人間の能力はさほど高くないからお互いに限界があるよね、という観点から仕事の任せ方を説いている。自身をふり返ると、自分がちょぼちょぼであるにも関わらず、部下には100点の満額回答を求めてしまっていたのではないかと自戒する。お互いちょぼちょぼであることを自認して、全員が60点を取れるマネジメントを目指したいね。
あと、部下に出す指示が具体性を欠いていたなぁと反省。上に掲げられた4つの条件を意識して指示を出していきたい。
鉄タイプと瓦タイプの使い分けも興味深かった。一律に俺式で指導していても、ついてこられる人間もいれば潰れてしまう人間もいるだろう。相手に合わせた指導が必要だね(ってこんな当たり前のことを今さら言うなという話だけど)。
出口氏の主張では「プレーイング・マネージャーを置いてはいけない」としているけど、自分の職場では自分がプレーイング・マネージャーにならざるを得ないので、自分が80点を出しつつ部下に60点を取らせるマネジメントをしなければならない。ちょぼちょぼの自分には難しいが、乗り切るしかないのだ・・・
さいごに
200ページほどのボリュームで集中して読んだら2時間くらいで読了した。部下を持つ全ての人が読んでおくべき内容だと思う。
では