映画「秘密 -THE TOP SECRET-」観てきた。ネタバレ含む感想

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さて

先日公開された映画「秘密 -THE TOP SECRET-」を観てきたのでそれについて語るとしよう。

原作:清水玲子
監督:大友啓史
出演:生田斗真、岡田将生、吉川晃司、松坂桃李、栗山千明など
上映時間:149分

清水玲子先生による原作漫画についての感想を先日書いたのでそちらもご参照頂ければ幸いです。

igcn.hateblo.jp

以下、ネタバレ含みます。

映画終了直後の第一声

ここで映画終了直後の私の第一声ツイートを引用しておきましょう

本作のあらすじは、

死者の記憶を映像化し、犯罪捜査を行う科学警察研究所法医第九研究室、通称「第九」。室長・薪剛の指揮により、新人捜査官の青木一行らが、家族惨殺事件で死刑となった男の記憶を映像化した。しかし、男の脳内映像として映し出されたのは、事件以来行方不明となっていた男の娘・絹子が家族に刃物を振り上げる姿だった。

というお話だ。

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原作の感想でも書いたけど、屍者の記憶を映像化して見ることができるという発想は実に面白い。本作では屍者の記憶を見るシーンがCG等を駆使してリアルに再現されていて、映画ならではの表現だなぁと感心した。褒めるのはここまで。

原作との違い:ストーリー&登場人物

原作漫画の感想記事にも書いた通り、本作で描かれているのは原作の「Case.2 28人連続殺人事件・貝沼清孝」「Case.4 露口絹子」に基づいたストーリー。原作ではこの二つのエピソードは全く無関係なんだけど、無理やりにくっつけた脚本になっている。まぁそこは脚色の範疇と思って目をつむるけど。

映画では、原作には登場しない2人のキャラクターが出てくる。

一人は大森南朋演じる悪徳警官
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もう一人はリリーフランキー演じる精神科医。
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大森南朋のキャラクター自体は現場の捜査権を持たない第九のメンバーの手となり足となり捜査をドライブする役回りとして必要だったのかも知れないけど、リリーフランキーの精神科医はふり返って見れば全く必要のないキャラクターだった。劇中1度しか登場しないし、そのくせ10分近く割いたシーンで特別情報量が増えるわけでもないし。まるまるカットしてもストーリーになんら影響しない。

何かスポンサーとか、制作委員会のメンバーとかが「とりあえずリリーフランキー出しとけばいい感じになるんじゃね?」とのたまったがために無理矢理作られたキャラクタなんじゃないかと勘ぐってしまう*1

とにかく無駄なシーン、演出が多い

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この映画、149分もあるのね。たっぷり2時間半。先日観に行った「シン・ゴジラ」の上映時間が119分でみっちり凝縮した緊迫感のある作品に仕上がっていたのと比べると、無駄なシーンや演出が多くて途中で飽きてくる。先述のリリーフランキーのシーンもそうだし、それ以外にもこのシーンいらないだろ?と思う場面が多い。俺試算では1時間52分にまとめられる内容だよ。脚本も演出もちょっと頂けない。

たとえば生田斗真演ずる薪剛が発作を起こして倒れるシーン。何度かあるし原作でもそう言う設定なんだけど、この映画に関して言えば必要なかったんじゃないか。それから岡田将生演じる青木の家族が何者かによって惨殺されて、父親だけが植物人間状態で生き残っているという映画オリジナルの謎設定。映画のストーリーと有機的な結びつきを生んでおらず、全く無意味。

演出で思い出したけど、岡田将生演じる主人公は「青木」って言う名前なんだけど映画の中盤になるまで「青木」という名前で呼ばれたり自己紹介したりするシーンがなかった気がする。自分は原作を読んでから観ているからこれが青木だって分かるけど、映画だけ見に来た人はこいつ誰なんだ?って思ってたんじゃないかなぁ。

大森南朋のキャラクターも、彼の演技力を生かせばもっと深みのあるキャラにできたと思うのに、「くそ!」とか「テメー!」とか粗野な叫びを上げるだけの薄っぺらいキャラクターにしか仕上がらなかったのは監督の演出力の問題じゃないか。

なんだかなァ。

露口絹子を演じた織田梨沙の怪演

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本作で一番重要なキャラクタである露口絹子。連続殺人鬼のサイコパスで男を次々誘惑しては惨殺、さらには家族を皆殺しにしてその罪を父親になすりつけるという胸糞悪く、かつ難しい役どころだ。その露口絹子を演じたのが織田梨沙という女優さん。

劇中ずっと喋り方がたどたどしいので、「ハーフか帰国子女かで日本語があまり得意でないのかな?」と思っていたのだけど、帰宅してから調べたところ千葉県出身のモデルさんで今回が初めての映画出演とのこと。喋りがたどたどしいのは単に演技がアレだったせいと判明してガックリしたわ。

事件の中心となる重要人物なのだから、ここはきちんと演技力のある女優を配役すべきところ。解剖医役で出演している栗山千明をこの役に宛てがっても良かったんじゃないかと思う。

言及忘れてたけど、吉川晃司演ずる貝沼は良かった。原作ではみすぼらしいキャラクターなのに、吉川晃司が演じるとカッコよく見えすぎるのは難点と思ったけど。

さいごに

生田斗真と岡田将生の二大イケメンを愛でる映画としてはマァ良いかも知れないけど、脚本と演出のレベルの低さと一部出演者の大根演技によって見るに耐えない作品に仕上がっております。

個人的には、原作漫画を読むことをお勧めしたいし、それで充分と思う。原作の発想自体は映画的ですごく面白い素材なのに残念。

どうせ映画化するなら、ハリウッド資本で脚本をデヴィッド・S・ゴイヤー、監督にクリストファー・ノーランを迎えて映画化して欲しい。薪剛役はデイン・デハーンで。エージェントの人、売り込んでよ!

では

35/100点(ただし主演が生田斗真でなければ15点)

今週のお題「映画の夏」


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*1:役者としてのリリーフランキーは自分は好きですよ、念のため