『エンジニアの知的生産術』は知的生産に携わる全てのひとにおすすめしたい必読の一冊。

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さて

サイボウズ・ラボの西尾泰和さん(@nishio)の著書『エンジニアの知的生産術』を読んだのでその書評など。

エンジニア以外も読むべき一冊

私自身はエンジニアではありませんが、本屋へ行くといちブロガーとしてWeb関連のコーナーで立ち読みすることがよくあります。その並びでコンピュータ関連の書棚をぷらぷら眺めていたところ、1冊だけ面陳されていたのが本書です。

タイトルの「知的生産術」と言う文言になんとなく惹かれて手にとったのですが、パラパラとページをめくるうちに「これは是非とも読まねばならない一冊だ」と言う直感が働いて、本を握りしめてレジへと向かったのでした。

そしてその直感は裏切られることはありませんでした。

書名には「エンジニアの」とありますが、プログラミングに関することも確かに前半に少し出てくるものの、ほとんどの内容はエンジニアのみならずおよそ全ての知的生産に携わる人に役立つテクニックが紹介されています。

知的生産のための技法が網羅的に紹介されている

本書の目次をさらっと紹介すると、

  1. 新しいことを学ぶには
  2. やる気を出すには
  3. 記憶を鍛えるには
  4. 効率的に読むには
  5. 考えをまとめるには
  6. アイデアを思い付くには
  7. 何を学ぶかを決めるには

の全7章立てになっています。

どうですか?目次を見るだけで、ワクワクしませんか?

例えば第1章「新しいことを学ぶには」では「遅延評価的勉強法」や「YAGNI(You Aren't Gonna Need It)原則」が紹介されていたり、第2章「やる気を出すには」では全体像を把握するためのGTDの手法や、とりあえずやってみる「ポモドーロテクニック」が紹介されていたりします。

この他にも「7つの習慣」や「PDCAサイクル」、記憶定着のための「間隔反復法」、「Whole Mind System」や「フォーカス・リーディング」といった速読法、さらには「KJ法」の紹介など、知的生産のための様々な技法が網羅的に紹介されています。

著者の西尾さんは前書きでこのように書かれています。

私は、知的生産術の良い参考書が欲しいです。人に知的生産術を教えるときに、お勧めできる本が欲しいです。

この本は、まさに知的生産術の最良の参考書といって良いでしょう。

Syntopic Reading

中でも自分が取り入れたいなと思ったのが"Syntopic Reading"と言う読書法です。"Syn-"は「同じ」を意味する接頭語で、「同じトピックの複数の本を同時に読む」読み方を指します。

複数の本を乱雑に素早く読むことで、予期しないつながりを発見(セレンディピティ)することができると書かれていました。

同じようなことを元外交官の佐藤優氏も言っていて、「知りたい分野の本を3冊買ってきて読む」とどこかで書いていた気がします。

今後実践していきたいと思いました。

図表がわかりやすい

もう一つ、本書の特筆すべきポイントとしては、図表がとてもわかりやすいと言う点です。

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図::学びのサイクルと第3章~第6章の関係

抽象的な事象を伝えるために文字情報のみでは限界が自ずとあると思うのですが、本書の各所に挿入されている図やイラストが、理解を助けてくれました。

筆者のScrapboxには他にも色々な自筆のイラストが公開されていて、普段から図解することにこだわりがあるんだろうと思いました。

西尾さんのプレゼンをぜひ一度聞いてみたいものだと思います。

西尾泰和のScrapbox
https://scrapbox.io/nishio/エンジニアの知的生産術_著者公式ページ@Scrapbox

正誤表もオンラインで公開

本書を読んでいて、一箇所間違いを見つけました。有名なコヴィーのマトリックスの軸が、「緊急」と「重要」が逆になっていたのですが、ネットで検索してみたところ、著者自身のScrapboxで正誤表が公開されていました。

エンジニアの知的生産術 正誤情報 - 西尾泰和のScrapbox

ネット時代ならではの方法で感心しました。

さいごに

今までに知的生産に関する本をたくさん読んできましたが、それらで読みかじった内容がぎゅっと濃縮されて1冊にまとまったような本です。

1冊で類書30冊分くらいの価値がある本だと思います。

知的生産に携わる全ての人が読むべき1冊で、座右の書としておりにふれて読み返していきたいですね。

おすすめ。

では


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