独学で知識ゼロから2ヶ月で簿記2級試験に合格した私の勉強法

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さて

2月25日に全国で開催された第148回日商簿記2級試験の結果が本日発表され、無事に合格することができました。ありがとうございます。

この記事では「簿記って何?」という知識レベルゼロからスタートして、2ヶ月間という短い準備期間で合格した私の勉強法をシェアしたいと思います。これから簿記2級受験を目指す方の参考になれば幸いです。

ではどうぞ

完全独学で挑んだ簿記2級試験

簿記等の資格試験を目指す勉強法としては、TACや大原などの資格試験専門学校の講座を受講する方法と市販のテキストを使って独学で行う方法がありますが、自分は今回独学で取り組むことにしました。

仕事が不規則で定期的な通学が難しいこと、子育て中で通学のために週末や夜の時間を使うことが家庭的に許されないこと、そして独学でも簿記2級試験には合格できることを証明したかったこと、が主な理由です。

結果としては、簿記2級試験は独学でも十分合格できる試験だということが証明できました。

簿記2級試験合格に必要な勉強時間

様々なサイトを読んで総合すると、知識ゼロから簿記2級試験に合格するために必要な勉強時間は150-250時間と言われているようです(中には50時間で合格したという記事もありましたが、さすがにちょっと信じがたいです)。

自分はStudyplusというiPhoneアプリを使って勉強時間を逐一記録していたのですが、それによると私の総勉強時間は153時間8分でした。

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勉強時間を確保する方法

忙しい社会人にとって、試験勉強時間の確保は最大の課題だと思います。仕事以外にも家族サービスや趣味などが時間の奪い合いをするわけです。自分は今回2ヶ月という短期決戦だったこともあり、睡眠時間を犠牲にして毎朝4時に起きて勉強することにしました。

幸いにして子供の寝かしつけはもともと自分の担当でしたので、毎晩21時頃に子供と一緒に寝てしまい、4時に起き出して出勤までの2時間あまりを勉強にあてていました。仕事が休みの日は家族が起きてくるまでの丸々4時間くらいを勉強にあてることができました。

Twitterやブログ執筆に費やしていた時間も全て勉強時間にあてました。2017年の1年間は平均月8本の記事を投稿していましたが、2018年の1月2月はそれぞれ投稿数が2本、4本と極端に少なくなっています。

勉強するためには何かを犠牲にしなくてはなりません。

何を犠牲にするか。それは個々人の価値観と照らし合わせて判断してください。

モチベーションを維持する方法

独学で勉強していくときに一番の困難は自分のモチベーションを維持していくことだと思います。しかし、いまはネットを介して人と人がつながることができる時代です。高額のお金を払って専門学校に通わずとも、同じ志を持つ人たちとつながることができるのです。

ブログで宣言してしまう

自分の場合は、まずブログで簿記2級試験を受験することを宣言して自分を追い込みました。宣言してしまった以上は合格しないと恥ずかしいですから、これは良いプレッシャーになったと思います(試験前2週間はそのプレッシャーで胃が痛かったですが)。

ブログを持っていない人でも親しい友人や家族に簿記試験受験を宣言して、後に引けない状況に自分を追い込むと良いと思います(プレッシャーに弱い人にはオススメしません)。

勉強するたびツイートする

勉強するたびに、ツイートをしました。ファボをいただいた皆様ありがとうございました。良い励みになりました。

Studyplusで勉強を報告

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iPhoneアプリのStudyplusでは、簿記2級試験を目指して勉強している方々とお友達になって、互いの勉強記録に対していいねしあっていました。これもとても励みになりました。

簿記2級試験勉強法

ここから具体的に簿記2級試験に向けての勉強法について述べたいと思います。

簿記受験を思い立ったらまずは電卓を買え!

さて、簿記試験の勉強を始めるにあたって、最初に手に入れるべきものはなんでしょうか?参考書?問題集?

いいえ

答えは電卓です。

簿記試験では大量の計算を行う必要があります。限られた時間内で問題を解くためには、素早く確実に電卓を操作する必要があります。電卓の操作に慣れるためにも、簿記試験勉強を始めると同時に電卓を手に入れて練習を繰り返すのが大事だと思います。

自分は簿記の勉強を始めてからしばらくの間、iPhoneの電卓アプリを使って計算していたのですが、これは全くの時間の無駄だったととても後悔しています(当然のことですがiPhoneは試験会場では使用できません)。

電卓は左手で操作する

右利きの人の場合、左手で電卓を操作して右手でメモや答案を書くようにすると時間短縮になります。左手で操作するのは最初はぎこちないのですが、練習を重ねれば必ずできるようになります。

右手で電卓を操作すると、その度に筆記具を置いたり持ち直したりしないといけないので、時間のロスに繋がります。

カシオかシャープか

簿記用の電卓はカシオとシャープが人気を二分しているようです。自分はシャープのこちらの電卓を購入しました。

両者はキーの配置が微妙に異なるので、実際に触れてみてお気に入りの電卓を選ぶと良いと思います。小型の電卓はキーが押しづらいので、ある程度サイズのあるものが良いと思います。

電卓の操作法も勉強が必要

電卓では四則演算はもちろん、より高度な機能を利用した計算が可能です。繰り返し演算、メモリー機能やグランドトータル機能、日数計算機能など、簿記の勉強をしなければ一生知ることがなかったであろう機能があります。

電卓の使い方に関しては、こちらの教科書がオススメです。中でも計算間違いの原因探しをする方法の項はとても参考になりました。

日商簿記受験生のための電卓操作完ぺき自習帳

勉強の具体的な進め方

簿記試験に向けた勉強は以下のように進めていきます。

教科書を通読
 ↓
過去問題集を繰り返し解く
 ↓
予想問題を解く 

試験勉強の標準とも言えるやり方ですが、学問に王道なしです。

以下に詳しく見ていきましょう。

教科書は必ず最新版を入手すること

これから紹介するのはすべて私が実際に使用したテキストです。簿記試験の参考書籍は多種類出版されているので、本屋で実際に手にとって中身を確認して、自分に合うものを選んでもらうのが良いと思います。

簿記2級試験は年3回(2,6,11月)開催されています。それに合わせて教科書や過去問題集も定期的に改定されているので、必ず最新版を入手するようにしてください(文中のリンクはいずれも最新版を紹介しています)。

教科書は最初にまとめて買うべし

簿記2級試験の教科書・問題集
実際に使った教科書・問題集のすべて

工業簿記では材料は製造開始時にまとめて投入されると考えます。同様に簿記試験勉強においても必要な教科書・問題集は最初にまとめて購入するべきだと思います。

購入した教科書を積み上げて勉強の総量を最初に視覚化して、試験日までの日数から逆算して1日あたり無理のない勉強計画を立てましょう。

自分は1冊読み終えるごとに次の教科書を順次購入していったのですが、後から後から勉強量が増えて行って、試験前の2週間は勉強をし終えることができるのかとても不安な気持ちになりました。これは戦力の逐次投入と言って、兵法の観点からも愚策と考えられています。 

TACの教科書をまとめて購入する場合は、TAC出版書籍販売サイトでセットを15%オフで購入できます

セット販売(15%OFF) | 日商簿記初級・3級 | 資格本のTAC出版書籍通販サイト CyberBookStore

まずは教科書を通読する

まずは教科書を通読しましょう。教科書はTAC出版から出ている滝澤ななみ先生のスッキリわかるシリーズのものを使いました。

簿記2級試験では3級(3級は商業簿記のみです)の内容を習得していることが前提として出題がされるので、3級の勉強も必要です

簿記3級:
スッキリわかる 日商簿記3級 第11版
 ↓
簿記2級商業簿記:
スッキリわかる 日商簿記2級 商業簿記 第12版
 ↓
簿記2級工業簿記:
スッキリわかる 日商簿記2級 工業簿記 第8版

の順に勉強するとよいでしょう。

スッキリわかるシリーズでは各項目ごとに練習問題がついていたので、それを解きながら読み進めました。練習問題が解けなかった場合は、なぜ間違ったのかを確認してすぐに復習するようにしましょう。

「スッキリわかる」シリーズ準拠の講義DVD

私が受験した時はなかったのですが、最近「スッキリわかる」シリーズに準拠した講義を収めたDVDが発売されているようです。

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"受講生目線に合わせたわかりやすい講義で絶大な信頼がある高橋靖明先生が、スッキリわかる講義を展開! 独学の方をやさしくフォローします。"とのことなので、ぜひ試してみてください。

過去問が解けるようになるためのワンステップ

教科書の練習問題が解けても、実際の試験問題は難易度が高く、簡単に解けるわけではありません。その間の橋渡しをしてくれる問題集として、スッキリわかるシリーズの滝澤ななみ先生が書かれたこちらの本を勉強しました。

日商簿記2級 みんなが欲しかった やさしすぎる解き方の本 第2版

第1問〜第5問それぞれの練習問題と、それに対する解法の詳しい解説が載っています。他の過去問集の答案解説はかなりあっさりしているので、この本の親切設計が役に立ちました。

ダイレクトに過去問集を解き始めた方が時間短縮にはなるかもしれませんが、自分はこの本を勉強してよかったと思っています。

過去問題集は1問ずつ解いて答え合わせを

過去問題集を解く場合、いろいろなやり方があると思います。1回分の問題を実際の試験と同2時間の制限時間で一気に解くやり方もありますが、自分はこれはお勧めしません。途中にわからない問題や間違えた問題があった場合、それを解決するまでの時間があいてしまうからです。

自分は過去問集を解く際、各回の1問ずつ解いてその都度答え合わせをしていきました。わたしが使ったTACの過去問集には各問題ごとに想定所要時間が設定されていたので、その時間内に解くようにしました。

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過去問題集はカンニングしながら解く

過去問題集で問題を読んで解き方が分からない場合や仕訳が分からない場合は、あーだこーだ頭の中で考えることをせず、すぐに解くのをやめて、該当箇所を教科書で勉強し直してから改めて問題に挑戦しましょう。それでも分からなければ、答えの解説を読んでから、すぐに自分の力で解答し直しましょう。

過去問題はあくまで練習のために解いているので、頭の中に間違った考え方の癖をつけるのはNGです。下手の考え休むに似たりです。解答に至る正しい筋道を繰り返し辿ることで身につけるのです。

これはスポーツの練習において、一人で練習して誤った自己流を身につけると修正に手間取ることに似ています。練習の時はコーチからのフィードバックを受けながら、正しいやり方を身につけるのが大事です。

繰り返し間違える項目はノートにまとめる

過去問題集を解くと、同じような問題が繰り返し出題されていることがわかると思います。そして、自分が繰り返し間違える項目があることもわかるでしょう。同じ間違いを繰り返す場合は、要点をノートに書き出して、それを本番の試験直前に見直すようにします。

自分の場合は費用/収益の見越・繰延*1がどうしても苦手で繰り返し間違えていたのですが、要点をノートにまとめることで頭の中が整理されて間違えることがなくなりました。

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重点項目をツイートするということもしていましたが、あまり反響はありませんでした。ハッシュタグ(#簿記2級)をつけていたので、試験前の見直しに便利でした。

過去問題集はできれば2-3周繰り返し解くことが望ましいと思うのですが、自分は時間が足りず1周しかできませんでした。

直前問題集で確認

試験直前の1週間は総まとめとして、TAC出版の直前予想問題集を解きましょう。

第155回をあてる TAC直前予想 日商簿記2級

この問題集は全部で4回分の予想問題が収められていますが、各回ごとに問題用紙と回答用紙を抜き出すことができる仕組みになっていて、実際の試験と同じような形で問題を解くことができます。

これまでは前述の通り、分からない問題は教科書でカンニングしながら解いていたのですが、この問題集については本番と同じ2時間の制限時間でカンニングなしで解くようにしました。

第1予想問題を解いた時に、問題文の意味がわからなさすぎて頭がフリーズするという恐怖を味わいました。本番ではフリーズしなかったのでよかったです。

簿記2級試験合格を目指す戦略

工業簿記の勉強に重点を置く

簿記2級試験は、全部で5問の出題があります。このうち第1-3問が商業簿記、第4,5問が工業簿記です。配点は各問20点ずつ、合計100点で、70点を取れば合格という絶対評価方式のテストです。

出題範囲と難易度を考えると、工業簿記に重点を置いて勉強して第4,5問を正答して40点を確保するのが合格への早道と思います。

工業簿記の問題、特に原価計算やCPV分析の問題は実はやっていることは中学受験レベルの算数と同じです。このことに気づいてから苦手意識が払拭されてむしろ得点源と考えられるようになりました。

出題区分大改訂中の平成30年度はチャンス!(でした)

平成28年度から30年度にかけて、簿記2級試験の出題区分大改訂が行われています。1級の試験範囲の一部が2級に降りてきた感じです。

平成29年度の追加論点

私が受けたのは平成29年度の最後の試験でしたが、29年度の追加論点は以下の5項目でした。

  1. 課税所得の算定方法
  2. 圧縮記帳
  3. リース取引
  4. 外貨建取引
  5. 連結会計

わざわざ論点として追加したということは、それが出題されるということを意味しています。実際私が受けた第148回簿記2級試験では第3問で連結会計の精算表の問題が出題されました。第3問はもともと捨て問のつもりでいたのですが、試験当日に復習したのも効いて点数を伸ばすことができました。

平成30年度の追加論点

平成30年度の追加論点は以下の3項目です。

  1. 税効果会計
  2. アップストリーム(連結会計)
  3. 製造業会計(商簿+工簿)

勉強する範囲が増えるのは萎えますが、追加論点は必ず出題されると思われるので重点的に勉強して得点源にしましょう。

特に追加論点の最初の出題は難易度が優し目と言われていますし、日本商工会議所が公表しているサンプル問題がそのまま出題されることもあるようです。勉強の費用対効果が大きいと言えます。

試験当日の注意事項

試験当日の注意事項等についてはこちらの記事を参照してください。

さいごに

簿記2級試験に合格した私の勉強法をご紹介しました。

このような勉強法の記事は巷に溢れていますが、あくまで個人の体験談に基づくものであり、同じことをやれば誰しもが合格することを保証するものではありません。

「こういうやり方もあるのか」と何か参考にできることがあれば取り入れていただき、皆様の簿記試験勉強の助けになれば幸いです。

では


簿記1級試験に挑戦することにしました。

*1:これは3級で学ぶ項目